ウチのオヤジのモノの考え方の柔軟性の無さに、僕は実にガッカリした。



UFO、そしてソレに関する文明や宇宙人の存在を完全に否定しているのだ。

今のこの時代に。
21世紀に。

「絶対に存在しない」
と。



国会議員ですら
「確認してないから存在しないとは言えない」
的なことを言っているのに、だ。
オヤジは
「存在するワケがない」
と言うのだ。



なんと夢の無い男なのだろう?





『絶対に存在しない』と言う理由を聞くと、

「地球人が他の惑星を探査するときのように、UFOが地球に着陸して探査してるのを見たり聞いたりしたことがないからだ」
と答えた。


これまた残念な回答だ。
というか、これは回答にはなっていない。


UFOとは未知の存在である。
構造や動力が全くもって不明である。
地球の科学を遥かに超える構造をしている可能性が高い。

ゆえに、着陸せずに、飛行しながら探査することなど、造作でもない可能性があるのだ。



以前にも語ったが、地球や地球人は様々な偶然が重なったゆえに存在しているのだ。

ビッグバンが無ければ地球は存在せず、微生物などの生き物が誕生しなければ地球人は存在しなかったのだ。

だから広大な宇宙の、数多くの惑星の中には、地球人がまだ発見すらしていない惑星の中には、地球と同等の、あるいはソレ以上の文明があっても不思議ではないのだ。


と、そういう仮説をオヤジに語ったが、受け入れる気配がなかった。


こちらは『可能性』の話をしてるというのに。


「俺はそうは思わない」
とか
「絶対無い」
とか言うばかりで。

「じゃあその根拠は?」
と聞いても納得できる回答が返ってこない。
『絶対』と言うのにだ。


これでは全く議論にならない。




そこでふと思ったのは
“オヤジは自分の肉眼で見たものしか信じない主義なのか?”
と。


よくよく考えたら、オヤジは昔から『自分の思ったことは全て正しい』という人間であった。
本人も以前ソレを認めたことがある。


世の中には完璧な人間などいない。


そして、世の中には絶対的なものは数少ない。


僕は、確固たる根拠があるワケでもないのに『絶対』とやたらと言う人間が、好きではない。


肉眼で見えるものだけが全てではない。
真実ではない。


ミステリーサークルを、オヤジは地球上の科学で作れると、どう説明できるのだろう?
いや、できない。
できないが、オヤジはきっと
「やりかたはわからんが宇宙人の仕業と思わせて地球人が面白がってやったんだろう」
と言うだろう。



全くもって寂しい男である。
悲しい男である。


夢のある話を全く信じないなんて。


オヤジは古い生まれの男である。
もしかしたら古い生まれの人間は、未知の存在を信じない主義なのかもしれない。

未知の存在を、フィクションとしか思えないのかもしれない…。


未知の存在の話を受け入れるほどの脳を持ち合わせていないのかもしれない。



このぶんだと、UFOや宇宙人だけでなく、心霊現象や前世や輪廻、超能力やUMAなども全て信じていないと思う。


ただ、神社へ行ったりしているから神だけは信じているのかもしれない。

そして、孫には
「サンタクロースは実在しない」
とも言わない。

なんと都合のいい男だろうか…。