行動経済学の中で「プロスペクト理論」という考え方があります。
「得をする時と損をする時で価値の感じ方が異なる」ということを体系化した理論です。
あなたは以下の2つのパターンのくじが選べるとします。
A:もれなく¥10000が当たるくじ。
B:50%の確率で¥20000が当たるが、残り50%の確率で¥0のくじ。
この場合、あなたはどちらを選ぶと考えますか?
実験によれば60%の人がAを選んだそうです。
では、次の場合はどうでしょうか?
A:もれなく¥10000を罰金として取られるくじ。
B:50%の確率で¥20000を罰金として取られるが、50%の確率で免除されるくじ。
この場合、Aを選んだ人の割合は30%にまで落ち、Bを選ぶ人が70%までに昇ったそうです。
実は、確率の期待値の考え方で整理すると、どの選択肢を選んでも金銭的価値としては¥10000であるはずです。
要するに感情抜きではどれも同じ優劣なく選ばれても良いはずなのです。
ところが、
最初の実験の場合は得られる金銭が少なくても良いからより堅実性の高い選択肢を選ぼうとする。
次の実験の場合は、堅実性の低い選択肢を選んでリスクを回避しようとする意思が現れるのだそうです。
■つまり、同じ額でも自分の「利益」と「損失」では「損失」の方がより強く印象に残り、それを回避しようとする行動をとる事を示しています。
これを行動経済学では「損失回避性」と言うそうです。
又、同額であっても損失の方をより強く感じる事に変わりは無くとも、損失・利益共に額が大きくなればなるほどその感覚が鈍ってくる事も実験によって分かっています。
これを「感応度逓減性」と言うそうです。
プロスペクト理論とは、「損失を回避する意識」と、大きい額になるにつれ感覚が麻痺してくる事をあらわす「感応度」からなり、人間が利益や損失を伴う選択肢でどのような意思決定をするか、損失と利得をどのように評価をするのかを理論化しました。
感応度逓減性について分かりやすい例で説明すると、
AショップではTVが¥10000で売られている
Bショップは、15分ほど先の1つ隣の駅にあるものの、TVが¥6000で売られている
この場合、かなりの確率でBショップへ行くと思われます。
ではこれではどうでしょう。
AショップではPCが¥250000で売られている
Bショップは、15分ほど先の1つ隣の駅にあるものの、PCが¥246000で売られている
この場合、わざわざBショップへ行きますか? という事になります。
距離を動く割には価格のお得感が追い付かず、あえて動く必要がないと考えませんか。