占いにはさまざまな方法がありますが、その中でも「星」を用いて人生を読み解く占星術には、時として容赦のない厳しさがあります。
私が主に用いているインド占星術、ジョーティシュでは、人はそれぞれ過去から持ち越したカルマを浄化し、今生で取り組むべき課題を持って生まれてくると考えます。つまり、人生は必ずしも「幸せになるためだけ」に与えられたものではなく、自分自身が成長するために、さまざまな経験をする場でもあるのです。
もちろん、私たちは苦しみだけを経験して生きるわけではありません。喜びや出会い、愛情、成功もあれば、別れ、病気、経済的な困難、人間関係の悩みなど、できれば避けたい出来事もあります。
外から見れば幸せそうに見える人であっても、その人にしか分からない苦しみを抱えていることは珍しくありません。人にはそれぞれ、その人に与えられた課題があるのです。
インド占星術では、その人生の傾向を出生時のホロスコープから読み取ります。そして、ダシャーと呼ばれる惑星の時期を確認することで、「いつ頃、どのようなテーマが強く現れやすいのか」を見ていきます。
中でもインドでは、土星(シャニ)は特に恐れられてきた惑星です。土星は、カルマ、苦労、制限、病、老い、死、忍耐などを象徴します。しかし、土星は単純に「悪い星」なのではありません。
土星が私たちに教えるのは、避けてきたことに向き合うこと、責任を引き受けること、忍耐すること、そして地道に努力することです。
だからこそ、土星の時期は厳しい経験が増えることがあります。しかし、その経験を通して、人としての深さや強さを身につけることもできます。
では、避けられない試練があるとしたら、私たちは何もできないのでしょうか。
インドには古くから、惑星に祈り、供養し、マントラを唱え、善行や施しを行うという考え方があります。これは単に「星にお願いをすれば願いが叶う」という意味ではありません。
星に祈ることによって自分自身の心を整え、謙虚さを持ち、他者に施し、人の役に立つ行動を積み重ねる。そのような生き方によって、カルマの影響を和らげていくという考え方です。
日本でも、苦しいときに神社やお寺へ足を運び、手を合わせる文化があります。それと同じように、インドでは惑星そのものを神聖な存在として捉え、祈りや供養を大切にしてきました。
人生には、どうしても避けられない出来事があります。しかし、同じ出来事を経験したとしても、それをどう受け止め、どのように生きるかは、自分自身に委ねられています。
自分のホロスコープを知ることは、未来を恐れるためではありません。
「なぜ自分には、このような課題があるのか」
「この経験から、何を学ぶ必要があるのか」
「今の自分にできることは何なのか」
それを考えるための一つの手がかりなのです。
星のもとに生まれ、与えられた人生を生きる。そして、苦難から目を背けるのではなく、必要なものとして受け止めながら、自分にできる努力をする。人を思いやり、誰かの役に立ち、困っている人に手を差し伸べる。
インド占星術が伝えているのは、単に「星があなたの未来を決めています」ということではありません。
星を知り、自分を知り、そして人間としてどう生きるのか。
そこに、ジョーティシュを学ぶ大きな意味があるのではないでしょうか。
