空海と真言密教
こんにちは、心のソムリエ 橋本文隆です。
日本人の精神に大きな影響を与えてきた仏教ですが、
何も知らない日本人が多いので、基礎知識として
仏教情報を提供しています。
空海と真言密教
弘法大師空海が唐(中国)に渡り、805年に恵果和尚から密教を伝えられました。
816年には高野山に道場を開き、823年には東寺を賜って真言宗を確立しました。
中期密教である『大日経』と『金剛頂経』を基本経典とし、これを「両部の大経」などといいます。
空海は「今生きているこの世において幸せになる」という願いを実現する「即身成仏」の思想を掲げ、当時の国家仏教としての役割とともに、広く民衆の中に仏法を広めていったことでも有名です。
また空海は、水害に悩む人を助けるために、誰も成功しなかった満濃池という灌漑用溜池を作るなど、社会救済活動を行っています。
また、身分に関わらず無料で学問を学べる「綜芸種智院」という私学を、世界で始めて設立しました。
これらの社会的な活動は、現世を重視する密教の性質をよく現しているといえるでしょう。
現在の真言宗は、弘法大師空海の教えを受け継ぎながら、時代に応じて様々な変化をしてきています。
真言宗には多くの宗派がありますが、大きく分けると、新義と古義になります。
新義は、平安後期に現れた覚鑁(かくばん)上人を中興の祖とする派で、豊山派や智山派などがあります。
奈良の長谷寺、京都の智積院、成田山新勝寺、川崎大師などのお寺が有名です。
古義は、高野山派を始め多くの宗派があります。高野山金剛峯寺や京都の東寺、四国の善通寺など多くの本山があります。
現在の真言宗では、大師信仰の広がりとともに、「南無大師遍照金剛」のご宝号を唱えることが基本となっています。
四国八十八箇所の遍路では、弘法大師がいつも一緒におられるという「同行二人」の考え方を基本とし、「南無大師遍照金剛」のご宝号をお唱えします。
「遍照金剛」とは、空海が恵果和尚から頂いた灌頂名であり、また真言密教の本尊である大日如来のことでもあります。
大師信仰は、弘法大師は今も生きておられるという入定信仰とともに、十世紀ころには既に始まっていると思われます。
それは、天皇・貴族から一般大衆にまで、さらには対立する奈良仏教にまで幅広く慕われた空海の人徳の表れでしょう。