ヴァイオリニストの花井悠希さんの『譚詩曲』は、取り出すことが多いお気に入りのアルバムです。
2010年頃に『1966カルテット』のメンバーだった、林そよかさん(ピアノ)、林はるかさん(チェロ)とのトリオによるアルバムです。
とにかく選曲が素晴らしい!
カリンニコフ、シュニトケ、ケイト・ブッシュというような、なかなか凝った作曲家の編曲者が入っていて、どうしたらこういう曲を選べるのかと不思議に思うくらいのセンスに感心します。
海外の有名な演奏家のソロアルバムでは、『譚詩曲』のようなユニークで発見のあるものは出てこないように思います。
カリンニコフはロシアの作曲家で、2曲しか残さなかった交響曲は隠れた名曲と言われています。
花井悠希さんは、交響曲第1番の2楽章を取り上げて『ディアローグ』と名付けて演奏しています。
曲の美しいところをさらに美しくまとめ上げた演奏にはうっとりとさせられます。
ケイト・ブッシュの『アーミー・ドリーマーズ』、シュニトケの『タンゴ』もそうなのですが、編曲も素晴らしい!
そして伴奏の良さ!
ヴァイオリンが主体となって伴奏が加わるアルバムには、伴奏に不満が残るものが多いように思います。
『譚詩曲』はそうではありません。
バランスが良いというのではなく、ヴァイオリンを盛り上げる技が絶妙で、伴奏に注目しても楽しめます。
同じ日に別のヴァイオリニストで、ピアノ伴奏の『剣の舞(ハチャトゥリャン)』を聴いたのですが、なぜそこでピアノが前に出ないのだと、ストレスを感じる演奏でした。
音楽の感動を一段シフトアップするのは、伴奏の大きな役割だと思うのです。
『譚詩曲』を購入したのはだいぶ前ですが、日本人の演奏するアルバムを積極的に購入するきっかけになった1枚です。