ドミトリ・キタエンコ指揮ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団(ノルウェー)による1991年の録音です。


ラヴェルの指定した17分に近い17分11秒で、ゆったりとした演奏です。


録音が良く、出だしの小太鼓から存在感たっぷりで始まります。


ソロはどの楽器も余裕を感じさせる滑らかな音で、ベルゲン・フィルハーモニーの音に興味を持ちました。


コントラバスが加わると音に厚みが出てきますが全ての楽器がしっかりと聞こえてきます。


ABのメロディの切り替わり部分でリズム楽器が音量を上げると、それに続くメロディが明確に音量を上げて行く様子は、キタエンコの指揮の巧さを感じます。


ティンパニが加わり、ヴァイオリンがメロディを奏でる辺りからは、クライマックスの感動に耐えられるかどうか心配になるくらいの音量になってきます。


17分と言う「ボレロ」としては遅い方に入るテンポで丁寧に演奏しながらこれだけ興奮させることが出来るキタエンコの演奏は、作曲家ラヴェルが設計したこの曲の意図を最も良く表しているかもしれません。


このアルバムの1曲目として収録されているデュカスの「魔法使いの弟子」から最後の「禿山の一夜」(ムソルグスキー)まで、ベルゲン・フィルの上手さと録音の良さもあり、かなり楽しめるアルバムです。