50年以上もクラシック音楽を楽しんでいると、手元のCDやLPがどのくらいあるのか分からなくなっています。


それでも全ての曲に触れられないのですから、クラッシック音楽の世界は広大です。


そんな状態でもしばしば聴くことがあるのがチャイコフスキーです。


弦楽セレナーデや交響曲の4番から6番ですが、私とチャイコフスキーの相性は良いのでしょう。


今回取り出したのは、バルビローリがハレ管弦楽団を振った5番です。





バルビローリは、よく歌う指揮者という印象があります。


弦や管をよく歌わせているところはうっとりさせられ、別の瞬間では相当な激しさも感じさせます。


だから面白い!


弦の動きは内声部の動きがよくわかり、2楽章のホルンが入る最初の序奏部分は、メロディーが左から右のバイオリンに受け渡される様子にハッとします。


1959年の録音ですが、楽器の分離は優れ、オーケストラの配置がよくわかります。


比較として1975年のショルティの5番を聴いてみました。


音の鮮烈さはショルティが優っていますが、ステージイメージの生々しさはバルビローリに軍配があがります。


ショルティの4番は素晴らしい演奏でしたが、5番はバルビローリの人間臭い演奏を聴いた後では、面白みが足りない印象を受けてしまいました。


5番はチャイコフスキーの曲の中でも作為的だと評された事もある曲ですが、バルビローリの演奏を聴くと、第4楽章の一部を除けば、驚くほど密度の高い曲だと感じることができます。