「築炉」という言葉をご存じでしょうか?


「築炉」とは、炉をつくることを表す言葉です。

身近な炉としてはピザ釜や焼却炉があり、大きな物は、鉄を溶かす溶鉱炉や原子炉があります。


炉の中は高熱になるため、炉壁は高熱に耐えられる材料、たとえば耐火レンガなどが使われます。


静岡県の韮山にある反射炉は、富士山とともに世界遺産として登録されました。





ペリー来航で衝撃を受けた江戸幕府は、大きな大砲の必要性を感じて、韮山に反射炉を造りました。


反射炉は、燃焼室で発生した熱を、炉の天井に反射させて炉内を高熱にして鉄を溶かすしくみになっています。


鉄が置かれる床は斜めになっていて、溶けた鉄は低い方に流れ、そこから直接大砲の型に流し込まれるようになっています。


すぐ脇を流れる川の水流を利用した水車を動力として大砲をくり抜いていたので、この場所は大砲を製造する工場として完結していました。


その後の日本の工業近代化の原点とも言える場所と言えます。


現在の反射炉はレンガがむき出しになっていて、鉄の枠で補強されていますが、当初は漆喰で塗られた白い姿だったようです。


遠目には2本の炉に見えますが、近くで見ると4本の炉が並んでいることがわかります。


晴れていれば高台から富士が見え、レストランや土産店もあるため、ちょっと立ち寄るにはおすすめの場所だと思います。