胸を打つような美しいクラシック曲を3つ挙げよと言われたら直ぐに思い浮かぶのは次の3曲です。
①バーバー作曲
弦楽のためのアダージョ
②サンサーンス作曲
交響曲第3番「オルガン」第1楽章第2部
③マーラー作曲
交響曲第5番第4楽章
①は、私が死んだ時に、もし葬儀をやるならその時に流して欲しいと思っている曲です。
すすり泣くような美しいメロディが繰り返されます。
オリジナルは弦楽四重奏曲ですが、弦楽アンサンブル用に編曲されたものの方がよく知られています。
初演はトスカニーニによって行われました。
②は「動物の謝肉祭」の中でチェロで弾かれる「白鳥」で有名なサンサーンスの曲で、大規模な編成のオーケストラ曲の一部なので、意外と知られていないかもしれません。
まだ聴いたことがなければおすすめの曲です。
③は、500万枚以上売れたカラヤンのアルバム「アダージョ」に収録されているので持っている方もいるかも知れません。
ヴィスコンティの映画「ヴェニスに死す」の中で効果的に使われている印象的な曲でもあります。
YouTubeにあがっている演奏では、ユーリ・シモノフ指揮モスクワフィルのものが気に入っています。
バルビローリ指揮ニューフィルハーモニア管弦楽団の演奏は、名演だと思います。
深いコントラバスの低音の上にヴァイオリンやヴィオラ、チェロなどが美しいテーマを響かせます。
この曲を特徴づけているハープも良いバランスで聴こえてくる録音も素晴らしく、1969年にはここまで録音技術が完成していたのかと驚かされます。
幾つかの手元のCDを取り出して改めて聴き直したキッカケになったのは、パク・キュヒさんのクラシックギターでの演奏です。
ギターの特性を活かし、技巧的には難しく無くてもギターが良く鳴る曲を沢山残した亡き佐藤和弘さんの編曲です。
オリジナルの主題だけを取り出した編曲ものですが、素晴らしい編曲です。
パク・キュヒさんは、トレモロの美しさで知られているギタリストで、この演奏でもそれを聴くことができます。
ギターは、弦を弾いた瞬間から音量が減衰して行くので、息の長いメロディーラインをクレッシェンドして行くにはトレモロは有効な奏法です。
全曲通して演奏するにはかなり真面目に練習しなければなりませんが、ところどころ抜き出して弾くだけでも、マーラーのアダージェットの美しさを感じることができます。