久しぶりのボレロです。
このCDは、写真のような丸い缶に入っていて、何となく幽霊指揮者のCDかもと思わせる感じが漂っています。
収録曲の録音時間も3曲で40分を切る短さ!
でもアルパド・ヨーは1948年にブルガリアで生まれた指揮者で幽霊指揮者ではありません。
オーケストラはロンドン交響楽団。
ドイツのプレスなので、怪しいものでは無いでしょう。
最初から音量があるなと感じる録音です。
小太鼓は存在感があり、中央にしっかりと定位しています。
でも何となく、縦の線が合っていないように聴こえ、フルートのリズムの刻み方もおぼつかない感じがします。
一方でソロは、感情がこもりなかなか良い音色です。
ボレロは、各楽器のソロでどんな演奏をしてくれるのかも楽しみな曲です。
この曲の心配個所であるトロンボーンは無事に通過。
ソロパートの見せ場が終わると元気度がアップします。
弦楽器がテーマを演奏するあたりからティンパニが存在感を出してきて、それに負けじと小太鼓が音量を上げていきます。
ティンパニの強打に触発されて小太鼓の音力が上がるのが面白く、トランペットの強奏が始まると、「今ここでこんなに音量を上げて大丈夫なの?」と心配になってしまうくらいの音量になります。
実際にはどの程度音量がアップしているのかは分かりませんが、楽器編成が変わる手前でティンパニや小太鼓がグイッと音量を上げる事で、音量が上がったように聴こえますし、そう聴こえるような楽器の使い方をしているのもラベルの技でしょう。
小太鼓は機関銃のようで、小太鼓が大活躍の録音と言えます。
名演かと言われると首を傾げますが、面白い演奏で、こう言うのは好きです。
続く「亡き王女のためのパヴァーヌ」はとても美しい演奏で、さざなみのような弦楽器の演奏にのって管楽器がよく歌っているのがわかります。
アルパド・ヨーの他の演奏を聴いてみたくなりましたが、残念ながら2014年に66歳で亡くなり、録音もあまり多くないようです。