オーディオ装置は、装置そのものを楽しむという遊び方はあるけれど、基本は音楽を楽しむための装置です。

 

音が良いほうがいいし、そこを追求するのが本道でしょう。


でも、人間は耳(聴覚)だけではなく、目(視覚)や鼻(嗅覚)や舌(味覚)という感覚器官をもっているので、これらを総動員すると、より満足感が高まるのだと思います。

 

オーディオ装置において臭いと言うのは、「ん?焦げ臭いけれど、部品が焼けている?」と言うように、危険を感じさせるものなので、無いほうがいいです。

 

味覚と言うのも必要ないですね。アンプをなめて、「やっぱりフランス製は味が違う」ということはないですから。

 

最後の視覚は、私にとってはかなり重要です。

 

割合にすると、音:デザイン=6:4くらいでしょうか?


ショップに行った時に素晴らしい音で鳴っていると、「どれがなっているの?ああこれなんだ。凄いな」と言うように音から入ります。


そうでない場合は、まずデザインの目が行き、「出来れば音も魅力的で有りますように」と言う気持ちで視聴させて頂くわけです。

 

昔はスピーカーボックスやアンプを自作していたこともあって、当然ながらメーカーが仕上げるような美しさにはならず、視覚的には大きなマイナスなのですが、自分で作ったものが目の前で鳴っているという満足感が加わるので、また別の趣味の世界になります。

 

何度かブログにも書いていますが、フランスのフォーカル性スピーカーシステムは、見ていて美しいと感じます。

 



イタリアのユニゾンリサーチの製品も、一部に木をあしらい、デザイン性の高さと、遊び心を感じます。

 



日本製の製品からは、なかなかこういう物が登場しないのは何故でしょう。

 

下の写真は、イタリアのPATHOS(パトス)というメーカーの、LOGOS(ロゴス)MKⅡというプリメインアンプです。




どこを見てもデザイン的に凝っていて、視覚的に楽しませてくれます。

 

「パトス」「ロゴス」といえば、あと1つ「エトス」が加わると、アリストテレスの説得術につながります。

 

パトスは「情熱」、ロゴスは「論理」、エトスは「信頼」です。この3つが備わってれば、人を説得できるということです。

 

このアンプには、情熱と論理性がそなわっているということですね。

 

信頼は、機械なので、長く使ってみないとわかりませんが、メーカーとしては、エトスは当然なのでしょう。

 

デザイン性に戻ると、ハイパワーアンプには、発熱を押さえるための放熱板が備わっているものがあります。

 



正面から見ると普通の放熱板に見えますが、上から見ると、こんなことになっています。



 なんと無駄なことを!


いや、空気と触れる面積が増えているなら有りなのかも。この辺りは、理にかなっているロゴスの表現かもしれません。


上部の放熱も、多くの場合、熱を逃がすためにスリットがあけられているのですが、メッシュの網がついた円形の穴になっています。



 

このプリメインアンプは、プリ部は真空管(ECC88)になっていて、真空管は木製の台の上に載っていて、後ろは鏡になっています。




 

鏡に映った複数の真空管が大変美しく、楽しませてくれます。

 

リモコンは木製で、6つ並んだボタンには、文字がありません。慣れるまでは使いにくく、日本では出そうもないデザインです。



 

これだけ凝ったデザインで音がプアだと逆に格好悪いですが、肝心の音は、深みがあり、ジャンルを選ばないクオリティです。

 

ユニゾンリサーチにも言えるのですが、イタリア製のオーディオ装置は、解像度とか音域とかだけではない、チャーミングさ、深遠さ、温かさなど、何らかのワンポイントを持っているのが魅力です。

 

伊達者ですね。