「このオーケストラは段違いに巧い」と言われても、高い演奏能力を持ったオーケストラは多いので、改めて言うまでもないと思う事が多いのだけれど、ショルティの指揮するシカゴ交響楽団の巧さは群を抜いています。

ショルティと言う指揮者を知ったのはワーグナーのレコードで、私はワーグナーが苦手である事から、ショルティには手が出ないと言う構図でずっと来ていました。

最近、ショルティとシカゴ交響楽団のチャイコフスキーを聴いて、大きく見方が変わりました。





シルキーな弦楽器に加え、管楽器は全てが超一流のソリストと言う印象を与えてくれる事に驚きました。

ショルティの指揮下にありながらも出番になると微妙なニュアンスので個性を出すのです。

ブラスの掛け合いも、ジャズのように、互いに目配せしながら競いあっているようなスリリングさを感じます。

爆発的なトッティでもうるさくならないのも気持ちがいい。

ショルティの統制力は素晴らしく、オーケストラ全体が一つの楽器のように鳴り響きます。

第3楽章のピチカートは、生演奏で聴くことが出来たらどんなに楽しい事でしょう。

心を動かすと言う演奏とは異なりますが、オーケストラの極限の機能美を楽しむにはショルティとシカゴ交響楽団の組合せはベストではないかと思います。