最近、ベートーヴェンのピアノ・ソナタにはまっています。

 

1枚だけ購入して、これはいいなと思って集め始めたのが、児玉麻里さんのアルバムです。

 

PENTATONEというオランダのレーベルから発売されているシリーズです。

 

 

PENTATONEの録音は、フィリップスから独立した録音チームが担当しているらしく、大変高音質です。

 

天才ヴァイオリニストのユリア・フィッシャーのアルバムをいくつも出していて、それを追う過程で、児玉さんのベートーヴェンに出会ったのでした。

 

何度聴いても新しい発見があり、飽きることがありません。

 

音量を落として聴くと、面白く聴いているHJリムの演奏のように、挑戦的なところが無い、正統派の演奏に聞こえます。

 

ところがある程度音量をあげて、たとえば「月光」で有名な14番をよく聞くと、起伏に富んだ実に細やかな演奏であることがよくわかります。

 

特に音色の使い分けは素晴らしく、迫力ある力強い音の直後に、コロコロとしたチャーミングな音が飛び出したりもします。

 

こういう音で弾くのがベストなんだろうなと納得させる個所がいたるところで登場します。

 

また、音のない「休符」に意味を感じさせる点も、何度聞いても飽きない理由かもしれません。

 

じっくり聞くと面白い、安定感も抜群の演奏です。

 

録音のせいなのか、楽器のせいなのか、児玉さんのタッチのせいなのか(おそらく、その全部)左手の深く響く音も、安定感につながっているようです。