デザインに惹かれて導入したユニゾンリサーチのアナログプレーヤーのGIROですが、戸惑ったことや不安もいくつかあります。
まずは、スイッチ。
これは購入時点でグラグラで壊れていた部分です。修理されてきたものも、日本の工業製品のようなかっちりとした動きの安心感はなく、なんとなくグラグラしていて、無造作に扱うとすぐに壊れてしまいそうです。実際、注意書きにも、「スイッチは無理やり回さず、軽く操作してください。無理な力は加えないように注意ください。」とありました。
そんなスイッチを入れた後に戸惑うのが、モーターの回転です。
GIROはベルトドライブなので、回転が安定するまで少し待つことはイメージしていたのですが、GIROの場合、スイッチオン直後にモーターが回らないのです。注意書きにも「スイッチオン後、回転が始まるまで数秒掛かります。」とありました。そういう仕様なのでしょうが、初期不良を経験している身としては、毎回、このまま回らないんじゃないかという不安な気持ちになります。これは、慣れるしかなさそうです。
よく考えてみると、使っているユニゾンリサーチのアンプもCDプレーヤーも、一部に真空管が使われているため、スイッチオン後に30秒待たされる仕様です。
次の不安は、ベルトです。
シリコンの丸ベルトを使っていて、見た目は良いのですが、シリコンは長く使っているとベタベタになる恐れがあります。確か、GIROはクリアオーディオがOEMとして作っていたはずで、マランツにもそれらしいプレーヤーはあるので、クリアオーディオから手に入れておいたほうがいいかもしれません。
GIROを組み立てて、戸惑いも有りました。
まず、針圧調整。
国産の多くは、カウンターウェイトに目盛りがあり、そこで針圧の調整ができます。これは精度は良くなくて、あくまでも目安だとは知っていましたが、私は針圧計を買うところまでの細やかさは無いので、手元に針圧計がありません。これは買うしかなさそうです。
つぎに、インサイドフォースキャンセラー。
レコードに針を落とすと、遠心力で外側に飛ばされる力がトーンアームに働きます。これをなんとかしないと、レコードの溝の左右のチャンネルバランがとれなくなります。たいていのトーンアームにはこの力をキャンセルする機構が付いていて、針圧と同じ値をダイアルで設定すればOKです。ところが、GIROには、この数字がダイアルには書いて有りません。これは困りました。たまたま、インサイドフォース調整用に溝がない部分が用意されたオーディオチェック用レコードを持っていたので解決しましたが、そんなレコードを持っていない場合はどうしたら良いのでしょう。
次は、インシューレーターの問題。
GIROのインシュレーターは、振動吸収という点では、かなり良くできています。構造も凝っています。しかし、高さ調整ができません。付属品として水平器はついているのですが、それを使うための高さ調整機構が見当たらないのです。これには困りました。ラック自体に高さ調整機構があったから良かったのですが、ない場合は、頭を抱えそうです。
最後は、カートリッジ接続ケーブルから、RCAのプラグまでが一体になっている構造です。
無駄な接点がなくなるため、オーディオ的には良い仕組みですが、何かあった時には困ります。
カートリッジ接続用のケーブルは非常に細く、これが切れたらかなり面倒なことになりそうです。カートリッジ交換は、できるだけやりたくない構造です。
こんなふうに、手なづけるのに苦労するGIROですが、それでも仕方がないと思えるのは、美しいデザインがあってのことです。
まあ、どれも慣れればいいことで、それがアナログプレーヤーの楽しみではあります。