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コンスタン・シルヴェストリ指揮
パリ音楽院管弦楽団 15分44秒
録音:1958年 Salle Wagram,Paris
EMI BOXセット
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コンスタン・シルヴェストリは爆演系指揮者と言われる事がありますが、全ての演奏がそういうわけではありません。
この「ボレロ」はどうか。
爆演でした。
まず、小太鼓はスネアの音が聴こえてきません。
それが録音のせいで聴こえないのか、実際にはずしているのかはわかりません。
フレーズの最後がふっと小さくなる箇所があり、どうなるんだろうと思っていると、テナー・サックスあたりから、ぐぐっと元気が出てきます。
妙に生々しいトロンボーンが終わると、ぐいっと音量を上げます。
弦が加わったあたりから、シルヴェストリが熱くなってくるのがわかります。
2台になった小太鼓の存在感はすばらしく、金管楽器軍もそれに負けじとフレーズの終わりをこれでもかというように強調します。
特にユニークなのは、最後にカスタネットが入っていることです。
ラヴェルは、「ボレロ」の作曲過程では、カスタネットとトライアングルを使うつもりだったようです。
トライアングルは入っていませんが、カスタネットが入っている演奏は非常にめずらしい演奏です。
こうなると、もう、乱痴気騒ぎ。
これ以上大きな音が出ないだろうと思った小太鼓もさらに全開になり、激しく叩きまくります。
トロンボーンのグリッサンドは、さながら像が、ぱおーん、ぱおーんと叫んでいるよう!
音がやや悪いせいで、クライマックスはごちゃごちゃ感がありますが、素晴らしい高揚感です。
ないものねだりですが、最新のステレオ録音で聴いてみたいものです。