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ロリン・マゼール揮 
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 13分05秒
録音:1971年6月 アビーロード第1スタジオ WPCS-12675

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 マゼールとニュー・フィルハーモニア管弦楽団の「ボレロ」は、最速と言われています。

 

手元には100を越える「ボレロ」の録音がありますが、確かにその中では最速です。

 

遅いボレロと比べると、5分以上の開きがあります。

 

最速と言ってもせかせかした感じはなくて、推進力のあるテンポに、各ソロ楽器が名人芸を披露しながらトロンボーンまでつなぐ前半は、飽きさせません。

 

録音もなかなか良くて、楽器の位置が良くわかります。

 

トロンボーンのソロが終わると少しずつ楽器が増えていきます。

 

音量を上げて次につなぐフレーズ間の2小節は、見事な効果をあげています。

 

この辺りをじっくり聞くと、たいした事をしなくても感動を生む仕組みの「ボレロ」に対して、マゼールは、かなり細かい指示を出している事を感じさせます。

 

最後の転調部分でテンポを揺らすスタイルは、後の2回の録音で顕著になりますが、この録音でも控えめにやっています。

 

一定リズムを刻んできて、最後にテンポを揺らしてしまうと、オーケストラはガタガタに崩れる可能性があります。

 

効果的な演出だと思うのですが、それをやっている演奏は多くはありません。

 

これを超速の「ボレロ」でやっているマゼールのバトンテクニックはさすがです。

 

クライマックスに向かっての盛り上げ方は、特に素晴らしくて興奮します。

 

コンサートで「ボレロ」を聴いた事がある方は、オーケストラのメンバー全員が波打つように揺れながら演奏している様を思い浮かべながら聴くことをお勧めします。

 

抑えきれない感動を味わえるはずです。