個人情報の保護に関して世の中が神経質に反応するようになってからだいぶ時間が経ちました。

 

本人に有利・不利に関わらず本人の承諾なしに個人の情報を利用したり他人に渡してはいけないわけですが、それにしてはおかしいんじゃないかということが普通に起きています。

 

インターネットのブラウザを開くと、最近自分が関心を持って調べた商品やキーワードに関係する広告が画面上に表れます。

 

アドテクノロジーのひとつですね。

 

「個人名を特定しているわけではないので、個人情報とは言えない」とは言えますが、事実上個人の行動に踏み込み、それを利用しているわけです。

 

自分が検索したキーワードが、どこかでビッグデータの一つとして蓄えられていくというのはなんともすっきりしない話です。

 

ネット上に個人情報を入力する場面は多いですから、どこかで蓄えられた情報と個人名が紐付けられないとは言い切れません。

 

マイナンバーになると同姓同名が複数ある姓名とは違い、ユニークなナンバーですから、それこそ個人をピンポイントで特定できます。

 

また、個人の関心がパソコン上に見えてしまうわけですから、それが他人に見られないとは言えません。

 

その前にパソコンをロックしろよ、という話もありますが、そのことと本人が望まない広告が自動表示されことは、話が違います。

 

人口知能に関わっている東大准教授の松尾豊氏は、人口知能が進み、それを広告に利用すると、本当にその商品を購入してくれる人を見極め、その人向けに広告が集中し、受けた人はいつの間にかその商品を購入してしまう、ということになるかもしれないと言っています。

 

 人間の知能を超えた人工知能が、100%に近い確度で物事を予測できるようになるとしたら、そのターゲットになった人は、「なんだかわからないけれど、買ってしまった」という結果になるのは想像がつきます。

 

ネット広告をビジネスとしている巨大企業が人工知能に莫大な開発費をつぎ込んで、「直近で狙っている」のはこういう事かもしれません。

 

この流れの中で、先の自動的に表示される広告の仕組みが個人情報保護の点からどうなのか、ということは、今真剣に議論されるべきことだと思うのですが、これだけアドテクノロジーが広がってしまうと、そんな風潮が生まれる可能性は低いようにも思います。