荒川区に住んで30年も経ち、飲み歩くのも好きなくせに、お膝もとの北千住界隈で飲むことはめったにありません。


オフィスのある日暮里から北千住までは電車で10分もあれば行けますが、普段の行動の動線上にはなく、わざわざ行く、という感じになってしまうのです。


10月のある日、北千住で行われた異業種交流会の後で、腰を落ち着ける止まり木を探しながらディープなエリアを歩いているうちに、「大はし」を思い出しました。


「千住で2番目」のキャッチフレーズと、東京三大煮込みにも数えられる「肉豆腐」で有名なお店です。


創業は明治10年ですから、歴史も相当なものです。


外からは中が見えないため、入るのにはちょっと勇気が必要です。



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思い切って戸を空けると、外からは想像できないほどの人で超満員!


あきらめられずに外で待つこと10分。


二人連れが出てきたので、入れ替わるようにお店に入りました。


席に座り、周りを見ると、焼酎のグラスに炭酸水、そして何やら赤っぽい液体を置いている人がほとんどだったので、同じものと、肉豆腐を注文しました。


あとで、赤っぽい液体は「梅エキス」であることがわかりました。


壁にはメニューがずらり。


悩ましいほどたくさんあります。


さあどうしたもんかと悩んでいると、隣に40歳くらいの男性が着席。


着席するとすぐに、キンミヤ焼酎のボトル1本、炭酸2本、さらに料理が2品、さっと出されました。


何も注文した様子はなかったのでびっくり!


どういうことなんだろうと気になり、思い切って話しかけました。


「あのー、どうしたら注文しなくてもそうやって色々出てくるんですか?」


「もう、10年以上、毎週のように通っているから、好みを覚えてくれているんですよ」


「常連さんなんですね」


座ると好みのものがさっと出てくるなんで、粋ですね。


「キンミヤのボトルがあるでしょ。あれを入れておくと、大体は顔を覚えてくれますよ」


「なーるほど」


ということで、私も早速ボトルを注文しました。


それから1時間半ほど、この方に「大はし」の流儀を伝授していただきました。


さて、それから一ヵ月後。


そろそろボトルが切れちゃうなと、やや早めの17時前に「大はし」に向かいました。


運よく席は空いていて、「こっちこっち」と威勢よく向かいいれられました。


すぐに、前回売り切れだった「刺身の盛り合わせ」と「肉豆腐」を注文。


「一人のみ体制」が整いました。


キンミヤのボトルからグラスに焼酎を注ぎ、梅エキスを入れて飲み始めると、左隣のオヤジさんが話しかけてきました。


「だんなさん、ここ、初めて?」

話はいろいろ飛びながらも、綾瀬の駅前に美味しくて安い串揚げやさんがあるという貴重な情報をゲット。


しばらく話し込んでいると、右隣に何やら美味しそうな料理が運ばれてきました。


「すみません。それは何ですか?」


「あ、これは、揚げ出し豆腐です。この店で一番好きなんです」


そういわれると、食べないわけにはいきません。


これがきっかけで、右隣の方とも話し始めました。


最初のオヤジさんは、焼酎を1本空け、かなりいい雰囲気になってきた様子。


これを見てご主人が、「さあ、お客さんは、そのへんで終わりにしたほうがいいよ。さあ、お会計ね」と、有無を言わせずに名物の大きなそろばんをはじき始めました。


「もー、江戸っ子は容赦ないんだから。。。」


と言いながらもオヤジさんは、「じゃあまたね!」と気持ちよさそうに店を出て行きました。


もうちょっと食べたいなと思い、「肉豆腐」をお代わりして、さらに「ウニ」を注文。


ボトルを入れていたせいか、これだけ食べても2000円ちょっと。


この後、右隣の方としばらく話し込み、一緒に店を出て、駅の改札で分かれました。


2回のうち、2回とも隣のお客さんと楽しくお酒が飲めました。


知らない人とお酒を飲むのは実に愉快なことです。


「大はし」は、そういう店なのかもしれません。


ボトルも空になったことだし、またボトルを入れに行こう。


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