東京芸術劇場で行われた、読売日本交響楽団のコンサートに行ってきました。
2015年度の読響メトロポリタンシリーズの第1回目のコンサートです。
指揮者は毎回変わり、今回は小林研一郎、通称コバケンさん。
燃える指揮者、炎の指揮者ですね。
プログラムは、チャイコフスキーで統一されていて、次の通り。
第1部
・歌劇<エフゲニー・オネーギン>からポロネーズ
・ロココ風の主題による変奏曲
第2部
・交響曲第5番
ポロネーズは、いかにもチャイコフスキーという感じの曲で、準備運動でホールを温めるという位置づけで、これからを予感させるようなわくわくさせる滑り出しでした。
ロココ風は、チェロ協奏曲みたいな曲で、ソリストは宮田大さん。
オーケストラの編成が小さい曲で、もう少し狭いホールで聴けたらさぞかし幸せな時間になるだろうなという演奏でした。
ブラボーな演奏でしたが、もともと一部の曲を除いて協奏曲はあまり好きではないので、幸せないい時間という感じで聴いていました。
休憩を挟んで、いよいよ交響曲第5番。
実は1年ほど前、この曲を別の指揮者で同じ読響で聴いていて、その時はスコアをなぞるような演奏にやや退屈したので、同じオーケストラだし、どうなることか、という頭で聴き始めました。
これがびっくり!
出だしの数小節で、大きく表情をつけてオーケストラをコントロールしていることがわかり、いきなり引き込まれてしまいました。
そのコントロールは最後まで続くわけですが、指揮者がやりたいと思うことを全てオケにやらせてしまうのは、コバケンさんの人柄でしょう。
2楽章も曲の美しさが際立ち、演奏のことを忘れ、曲の良さに浸ることができました。
ふつうは演奏者の個性が表に出て、次に作曲家の思いがくるような演奏が多いのですが、この2楽章では、オケや指揮者は姿を隠し、単純に「なんて美しい曲だろう」と思わせてくれました。
こういう演奏はなかなか出会えるものではありません。
そして、終楽章の密度の濃さとパワーには圧倒されました。
細かな技巧的な面や、オーケストラの音色ということでは、もっと優れたオーケストラがあるのだろうけれど、曲の良さを100%引き出し、楽しませてくれるということでは、超一流のコンビだと思いました。
演奏が終わった後はもちろんブラボー!
これは、へたにアンコールなんかやらないほうがいいな、と考えていたら、コバケンさんが拍手を制して、この読響のみなさんの熱演の後にはアンコールは必要ないと思います、と述べて、いつもの人柄を振りまきながら、舞台のそでに消えていきました。
指揮者が違うと演奏はまったく変わるということはわかっていましたが、これほど別ものになるのかと、驚かされたコンサートでした。
このコンサートの余韻を楽しみたく、夜の街を徘徊して、やっとたどり着いたお店で静かに一杯やって帰りました。
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