クラシックギターの月刊誌である「現代ギター」のバックナンバーを読んでいると、福田進一さんのインタビュー記事が目に留まりました。
ギター教室に通う人の言葉で「曲が仕上がった」という言い方があり、これはおかしいというのです。
今日はひとまず弾けるようになっても、仕上がりというゴールはなくて、一生をかけて取り組み、その時応じて変化していくもの、という考え方なのでしょう。
「仕上がる」という考え方をすると弊害があります。
仕上がった時点で次の曲を仕上げるための練習が始まるので、いつしか一度覚えたはずの曲を忘れてしまい、いつまでたってもレパートリーが増えません。
たしかにそうです。
私も20年間くらいプロのギタリストにレッスンを受けていたので、2時間の演奏プログラムをいくつかつくれるくらい曲に取り組んだはずですが、楽譜を見ないですぐに弾ける今日は1曲もありません。
福田さんが勧めているのは、小品を加えた1時間くらいのプログラムをつくり、いつでもそれを弾けるようにして、その中で曲を入れ替えていく、という方法でした。
なるほど、と思いました。
ということで、「禁じられた遊び」など、ギターをやっていない人からちょっと弾いて、と言われるような曲も含めて、プログラムを作ってみることにしました。
まずは、30分くらいから。
その1曲として、レモンの「Complante」を暗譜してみました。
レモンは、親しみやすい美しい曲をいくつも作っている作曲家・ギタリストです。
「Complante」は、惜しくも亡くなってしまった稲垣稔さんの「レヴリ/夢」というアルバムで知りました。
稲垣さんは、生前レモンと親交があり、二重奏のアルバムも残しています。
美しい音色とバランス感覚にあふれた音楽を聴かせてくれたギタリストで、亡くなってしまたtことは本当に残念です。
話がそれました。
「Complante」の楽譜は見開き2枚で、技巧的にもそれほど難しい曲ではありません。
それなのに、手こずっています。
同じフレーズが何度も出てくるのですが、そこで使う和音が、微妙に変化するのです。
音を変えなくても曲としてはまったく違和感はないのですが、おしゃれさが違ってきます。
2時間ほど格闘して、なんとか暗譜しました。
30分のプログラムの1つになりそうです。