昨年の暮れから少し話題になっていたラブジョイ彗星をきっかけに、天体観測熱が少しだけ再燃しました。


中学生から高校生にかけて、星を見ることが好きで、夜になると手作りの望遠鏡を持ちだし、空を見上げていました。


20代で浅間に小屋を建てたとき、降るような星を見て、そのときに口径20㎝の望遠鏡を購入しました。


ミードというアメリカの会社の望遠鏡で、シュミット・カセグレンというやや複雑な光学系を持った望遠鏡です。


最近は大口径でも、ドブソニアンという形式の安価な望遠鏡も普通に手に入るようになっていて、20㎝という口径は特に大きいというわけではないのでしょうが、重量も30キログラム以上あり、設置するとそれなりの存在感があります。


この望遠鏡のことを思い出し、押し入れから引っ張り出してみました。


レンズのふたをはずしてびっくり!


手前の補正板も、奥に見える反射鏡もカビが繁殖していました。



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カメラもそうですが、レンズの保管を適当にやると、レンズにカビがはえてしまいます。


シュミット・カセグレンは構造が複雑なため、レンズを外してしまうと光軸がずれ、その調整を考えるとばらす事はちょっと躊躇しました。


それでも、放っておくわけにもいかないので、六角レンチを取り出して、手前の補正レンズを外しました。


望遠鏡のレンズのコーティングはシビアで、洗浄には何を使うか悩んだのですが、眼鏡用の泡で汚れを落とすクリーナーを噴きかけ、指の腹でやさしく鏡面をこすってみました。


水で流すとカビは見事に落ちていました。


水を切るのが問題で、うまくやらないと乾いたときにムラが残ってしまいます。


本当は蒸留水を使いたいところでしたが、手元に用意しないまま作業をしてしまったので、扇風機の風を鏡面にあてて、なんとか水分を飛ばしました。


乾いてみると別の問題が・・・。


長い間の保管のまずさで、副鏡のコーティングがあちこちで浮いていたのでした。


こうなると、望遠鏡としての性能は落ちてしまいます。


ちょっとがっかりしましたが、そもそも日本はジェット気流の関係で晴れていても空気の揺らぎが観測を妨害し、文句なく星が美しく見えるシーイングの条件が整う日は年間に何日もありません。


・・・ということと、コーティングがはがれていることは何の関係もないのですが、「まあ多少性能が落ちたって、性能を100%発揮できる条件はそうはないわけだし」という妙な理屈をつけて自分を納得させました。