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グイド・カンテッリ指揮  NBC交響楽団  13分51秒

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グイド・カンテッリは、1946年にトスカニーニによってNBC交響楽団の副指揮者に招かれ、これからの活躍が期待されていた指揮者でした。惜しくも飛行機事故で無くなってしまいました。この時、カンテッリは36歳。この録音は、1952年の時のライブのものです。


録音はモノラルです。


リズムを明確にして、グイグイと進む演奏で、特に小太鼓が2台になってからの小太鼓の迫力は、演奏会場にいたら、きっと目まいがしたでしょう。望むべくもないことですが、優秀なステレオ録音で聴いてみたいものです。


ところで、トスカニーニの「ボレロ」の録音は、1939年のものが残っています。オーケストラは同じNBC交響楽団。録音を聞いてみるとかなりテンポを揺らしています。この曲は、AとBに分けられる同じメロディーを繰り返すことで曲が構成されていますが、トスカニーニは、Bのテヌートの指定がある部分で、思い切りテンポルバートしています。マゼール(ウィーンフィル)の録音は、最後でテンポをがくんと落とす奇演として知られていますが、それを最初から最後までやり続けたのがトスカニーニで、ちょっとやりすぎ感のある演奏です。


これに対して、カンテッリはトスカニーニとは大きく異なり、リズムを正確に刻み続けます。203小節目から始まるBになって、わずかにテヌート気味に演奏しています。このあたりに、新しいクラシックの時代を築いたかもしれないカンテッリのセンスを感じます。


それにしても、トスカニーニの録音で見せたNBC交響楽団はびっくりするくらいヘタです。カンテッリの演奏では同じオーケストラとは思えないくらい上手く演奏しています。(よく聞くと、トゥッテイでの管の乱れはありますが)


テナーサックスがいい感じでソロを終えた最後の129小節目で、トローンボーンだと思うのですが、うっかり「ぷわぁ!」と音を出してしまう瞬間があって、これはご愛嬌です。