歳とともに聴く音楽の傾向が変わることは、面白いなと思います。
クラシック音楽はもう50年近く聴き続けていますが、どうもシューマンの交響曲は苦手で避けていました。
一時、VOXレーベルから出ていたセムコフの指揮する交響曲全集を手にしたとき、「シューマンいいかも」、と思ったこともあったのですが、他の演奏を積極的に聴いてみようとは思いませんでした。
聴いていて、いったい何がしたいんだ、というもどかしさを感じる印象だったのです。
次にいいなと思ったのは、サカリ・オラモが指揮した全集を聴いたときです。
見通しがいいけれど軽くはない響きは、新しさがあり、シューマンじゃあないように感じたのでした。
今年になってベルリン・フィル・レコーディングの第一弾として出された、サイモン・ラトルの全集を聴いた時から、なんとなくシューマンが気になり出しました。
ラトルの演奏がいいと思ったわけではないのですが、シューマンの交響曲の良さを気づかせてくれたことは確かでした。
今は、ガーディナーの演奏で第4番が流れています。
ガーディナーは、ベートヴェンの交響曲全集を手にしたときに、ショックを受けた指揮者です。
当時はまだ会社勤めをしていて、2時間かけて通った車の中で、何度もガーディナーのベートーヴェンを聴きかえしていました。
重厚さがなく、暗くないという点ではシューマンらしくないのかもしれません。
それでも、ユニークなバランスでパートをコントロールしながら快速テンポで音楽が流れく様は、けっこう楽しめます。
バーンスタインとニューヨーク・フィルになると、響きが大きく、弦を十分に歌わせ、ちょっと古い感じがしますが、素晴らしい演奏です。
コンヴィチュニーとゲバントハウスの組み合わせは飾り気のない伝統的なドイツを感じさせながら、決して古臭くさいと思わせないのは素晴らしいですし、サヴァリッシュとドレスデン・シュターツカペレは、オーケストラの響きの美しさに加え、超模範的な演奏でありながら、何度も聴きかえしたくなるという点で、見事な演奏です。
シューマンの交響曲は、しばしばシューマンによるオーケストレーションの完成度の低さが語られますが、何度も聴きかえしてみるとそんな印象はまったくなくなりました。
原典版の素朴さもこれはこれで魅力的です。
くらーい演奏、爽やかさを感じる演奏、重戦車のような重厚な演奏など、使っている楽譜の版の違い以上に差が出るシューマンの交響曲は、聴き比べには面白い曲です。
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