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エンリケ・バティス指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 16分05秒
録音:不明 2000年より少し前か?
SEGUNDA EB Alfa-1025
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エンリケ・バティスは、1942年に生まれたメキシコ出身の、「爆裂系指揮者」として分類されてしまうことが多い指揮者です。同じメキシコ出身指揮者である、エドゥアルド・マータとは、ずいぶんと演奏スタイルが異なります。確かにNAXOSから出ているレスピーギのローマ三部作などは、あちこちで破壊音が飛び出す爆演なので、この「ボレロ」は期待できます。
意外にもかなりの弱音で始まります。でも、何かおかしい。。。
スコアを見ながらもう一度聴きかえしてみると、最初の1小節が抜けていて2小節目から始まっていたのでした。編集ミスなのか、そういう演奏なのかはわかりません。
ソロはゆったりと歌わせ、爆列とは正反対に、全体的にふわりとしたのどかな雰囲気が漂っています。映像で、チェリビダッケが腰をふりながら楽しそうに演奏している指揮ぶりを見たことがありますが、その指揮ぶりを思いうかべなが聴くとぴったりとあてはまりました。
オーボエ・ダモーレが終わって弱音器つきのトランペットになったとき、わずかにピッチが違うように聞こえ、一瞬おやっと思いました。
テノール・サクソフォーンは、いい響きです。テノール・サクソフォーンによるジャズ風な演奏は控え目で、その代りにトロンボーンがやってくれます。難しいといわれているトローンボーンですが、他の演奏では見られないほど極端にジャズの雰囲気を出しながら吹いてくれます。ここから爆列系に移行するのでしょうか?
トロンボーンのノリを受け継ぐような音量で管楽器群がメロディーを受け継ぎます。弦楽器が登場して徐々に音量は上がってきても、のどかなゆったり感は変わりません。
小太鼓が2台になるところの効果は素晴らしく、ここからコーダに向かって盛り上がります。転調してからはトランペットがところどころでアクセントをつけ、これがきらびやかな色彩感を出してくれます。
「ボレロ」には、インテンポで、きびきび進むような演奏や、高速走行で始まり、さらに加速していくような演奏があります。バティスの「ボレロ」はそれらとは異なり、音の長さを十分にとり、ふわりとした感覚を保ちながら進む演奏です。たとえば、A地点からB地点に行くとき最短距離で地面を進むのではなくて、空中に弧を描きながらB地点に到達する、というような演奏です。
バティスの「ボレロ」ということで爆列演奏を期待して聴き始めましたが、意外にも、気持ちのいい名演を聴くことができました。
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