荒川と隅田川に挟まれた、見晴らしのいい零メートル地帯に建つマンションの11階に住んでいます。
朝、玄関のドアをあけ廊下を歩くと、夏の間は毎日のように廊下脇の側溝に、数匹のコガネムシを見ることができます。
それも、あおむけになって。
きっと寿命が来ると、あおむけになって死んで行くんだろうなと思っていました。
たいていは既に動かなくなっているか、脚をもぞもぞと動かしています。
裏返しにしてやろうかとも思いましたが、死ぬためにやっとの思いで裏返しになったのかもしれません。
セミだって、裏返しになって死にます。
へたにひっくり返すと、
「やっとの思いで裏返しになったのに、なんてことをしてくれるんだ!」
と逆にうらまれるかもしれなません。
数日の間は、死を目の前にしたコガネムシをやさしく見守っていました。
それでも、毎日のように側溝であおむけになってうごめいているコガネムシが気になり、ネットで調べてみました。
なんと!
あれは、自分で裏返しになったわけではなく、側溝のわずかな壁を上るときに、つるりと滑ってあおむけになるらしい。。。
コガネムシはもともと背中側に重心があって、一度裏返しになると、ちょっとやそっとではもとに戻れないのです。
コガネムシは、起き上がろうと、必死でもがいていたのでした。
自然の中では引っ掛かりが多いので、もがくうちに何かに足が引っ掛かって起き上がれるのですが、防水加工したつるつるの側溝では絶体絶命です。
それを知ってから、みつけたコガネムシは助けてやることにしました。
ポケットからキーを取り出し、コガネムシのお腹にそっとあてると、コガネムシはキーにしがみつきます。
そしてそのまま放り投げると、元気に飛んでいきます。
この方法で、今年は数十匹のコガネムシを助けてあげました。
ここ数日、ちょっと寒くなりましたが、コガネムシを見なくなりました。
来年の夏の朝も、コガネムシの救出から始まりそうです。
東京に大地震が来て津波が押し寄せ、堤防が機能しないと、私の住んでいる零メートル地帯は水没します。
そんなとき、たくさんのコガネムシが飛んできて、私をつかまえて、救出してくれるかもしれません。
大雑把に計算してみると、10万匹くらいいれば、私を持ち上げて、空に飛びあがれそうです。
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