17分台というのはさすがにゆっくりとしていて、もっと速いテンポにな慣れている楽団員はじれったくならないのか心配してしまいます。録音枚数も、他のテンポに比べてぐっと少なくなってくるようです。
速さでなんとかなってしまう13分~15分台と違って、17分台にした意味を感じさせるのが難しい速度域であるように思います。始めゆっくりでも、最後にはスピードアップするミュンシュや、この速さが「ボレロ」のベストとまで感じさせてくれるプレヴィンの演奏などもありますが。
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ダニエル・バレンボイム指揮 パリ管弦楽団 17分30秒
録音:1981年4-5月、パリ、サル・ド・ラ・ミュチュアリテ
Gramophone 400 061-2
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17分30秒というタイムは、手に入りやすいCDとしては最も長いのではないでしょうか。13秒しか違わないバレンボイムはそれほど遅いな、という印象は受けないのですが、プレヴィンのこの演奏はゆっくりだなと感じます。このゆっくりなテンポは、街をやや早歩きしながら歩くとピッタリするのが意外です。
「ボレロ」には音楽展開のストリーがあります。
ある酒場で一人のテーブルの上で女性が物憂げにボレロを踊りだします。周りの客がそれに気づき一人加わり、二人加わり、最後には全員が加わり熱狂して踊るというストリーです。ここから演奏に期待するのは、次の3部にわかれた演奏の展開です。
1.物憂げな雰囲気
2.一人ひとり加わった客の個性
3.全員が加わった時の熱狂
この感じが上手く出ていると思うのは、ジャン・マルティノンの演奏です。
バレンボイムはどうかというと、1~3の変化が感じられません。見事な演奏の部類に入ると思いますが、見事な内容かというと、上野3つの雰囲気の変化が感じられないので、私の中ではいつも聴きたい「ボレロ」とはなっていません。
最後の盛り上がりも、プレヴィンの演奏はデジタル的なわかりやすい音量増加を図り天井知らずの音量増加の期待があるのですが、バレンボイムでは、アナログ的な音量増加となっていて、いまひとつ感情の高揚が演奏と同期しないのが残念です。
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