読売日本交響楽団でラヴェルの音楽を聴いてきました。
指揮は、大友直人氏です。
曲は、次の通り。
「マ・メール・ロワ」組曲
ツィガーヌ
亡き王女のためのパヴァーヌ
ボレロ
一般的によく演奏されるムソルグスキー作曲の「展覧会の絵」はラヴェルの編曲です。
この曲を聴けばわかるように、ラヴェルは色彩感に富んだ音楽をたくさん生み出した作曲家です。
もともとはバレエ音楽として作曲された「ボレロ」は、だれでも1度は耳にしたことがあると思います。
A,B2つのメロディーが楽器を変えながら9回繰り返されて、最後に数小節の転調されたエンディングがつく、という構成的には恐ろしくシンプルな曲です。
この曲の要は、同じリズムを約15分間たたき続ける小太鼓。
ふつうは小太鼓はステージ左上段に配置されるのですが、ステージを見回してもどうしてもみつかりません。
音楽が始まっても小太鼓の位置の確認ができず、もしかして、テープ録音?なんて思いましたが、なんと、指揮者の正面の第2バイオリンの後ろ当たりにいました。
これでひと安心。
この曲をより感動的に楽しむには、この小太鼓の演奏ぶりに注目しておくこともけっこうポイントになるんです。
クラシックが苦手な人は、チャンスがあれば、ぜひ「ボレロ」を生演奏で聴いてみてください。
まったくラヴェルはずるいというのか天才的というのか、人間が本能的に感情を爆発させてしまう仕組みを、音楽として作りこんでしまっています。
だから、曲が美しいとか、クラッシクだろ?などという以前に、聴く人の感情が動かされてしまいます。
北風がコートを羽織らせ、灼熱の太陽が、服を脱がさせるようなものです。
あるいは、ガムラン音楽や読経の大合唱が人を瞑想の世界に誘うのと似ているかもしれません。
楽器を変えながら繰り返される同じメロディーとリズム。
そして、曲の開始から終わりに向かってひたすら続く、クレッシェンド(音量増加)!
メロディーは同じでも、楽器を変えて、音の厚みがどんどん分厚くなってきます。
異なる楽器を基音に対して3倍音、4倍音、5倍音で組み合わせ、パイプオルガンのような効果を狙う場面も登場します。
心臓がバクバクして、「このままだとやばいかな」と思うタイミングで、2台になって激しさを増す小太鼓!
そして、音量の増加とともに、波打つ演奏者たち!
これ以上の音量は出ないだろう、という最後の最後で、さらに増す大音量!
それまでの気持ちの高揚が頂点に達した時に、一気に崩される最後の2小節!
まったく、おそろしい曲です。
ラヴェル自身は、メロディーと使う楽器の順番さえ決めてしまえば誰にでも書ける曲さ、なんていってたらしいけれど、このアイデアを曲にしたのがすごいのです。
録音では、以上のことを半分も味わうことはできません。
でも、一度でもライブを体験すれば、ヘッドフォンを通した「ボレロ」でも、ライブの衝撃を重ね合わせて感動することができます。
だから。
ぜひ、「ボレロ」はライブで!
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