横須賀美術館に併設されているレストランは、目の前に広がる芝生の先に海が見える、実に気持ちのいいお店です。
ここでランチをしようと、土曜日の昼過ぎに向かいました。
行ってみると、待っている人が多くて、簡単にあきらめてしまいました。
並ぶ、ということがとても苦手です。
せっかく来たのだからと、美術館をのぞいてみると、「日本の妖怪を追え!」という、面白そうな特別展をやっていました。
パンフレットを見ると、松井冬子 さんの作品の写真が!
松井冬子さんは、雑誌で「浄相の持続」という作品を見てから気になっていた画家でした。
展示されていたのは「夜盲症」という作品で、江戸時代に描かれた「幽女図」のような、下半身が幽霊のように霞んで描かれた作品です。
松井冬子さんはモデルのような容姿ををしているのですが、作品とのギャップが大きくて、不思議な感じを受けていました。
「夜盲症」は、死装束をまとった女性が羽をむしられた鳥の死骸を持って立っている絵です。
両手の位置と顔の向きに不自然さがあり、そのことが、描かれていない視線の先を想像させてくれる絵でした。
残念ながら「浄相の持続」は展示されていなかったのですが、どこかで本物を見てみたいものです。
特別展ではその他にも、葛飾北斎、歌川一門などの江戸時代の絵師の作品や、明治時代の月岡芳年、現代では水木しげるなどの作品が展示されていて、なかなか見応えがありました。
最近の作家では、絵画ではありませんが、今道子さんと鎌田紀子さんの作品に強烈なインパクトがありました。
今道子さんは写真家で、魚や野菜、果物などの食材を使ってオブジェを作り、それを撮影して作品にしていました。
「キノコ王女」は、様々なキノコを使った女性の半身像で、ぞっとするような怖さにあふれていました。
造形作家の鎌田紀子さんは、「ひと」「ひとでなし」「たちたい」「たちたいの」のようなタイトルを持つぬいぐるみのような作品を展示していて、デフォルメされた異形の人間像から伝わる怖さには独特の世界があります。
「レリーフ」「すけるひと」「ひとのえ」などの作品は、作品集などの印刷物では絶対に伝わらない存在感があり、こういう作品に触れるためにも美術館には足を運ばなければいけないな、と思ったのでした。
一連の作品を見て、男性よりも女性の作家のほうが、心の奥の恐怖に触れてしまうような、飛んでいる作品をつくっている印象がありました。
鎌田紀子さんのインタビュー記事からは、不気味な作品を作るぞ、と気合の入ったところはなくて、力が抜けた感じで楽しんで作っているような印象を受けました。
また、作品は女性から好まれることが多く、男性からはその生々しさに気持ち悪いと言われることが多いということです。
怖いとか気持ち悪いとか、男女の感じ方に差があるのかもしれません。
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