マイクロアーキテクチャ。
コンピュータ用語のマイクロアーキテクチャではありません。
「MICRO ARCHITECTURE 小屋の力」という分厚い本があります。
ここでは、小さな構造物、というような意味になります。
「小屋」ということですね。
バラックのような小屋から、屋台、見世物小屋なども取り上げたたくさんの「小屋」の写真を集めた本です。
50半ばを過ぎた今でも「小屋」という響きに心踊ります。
同世代くらいの人が子供のころに体験したであろう「秘密基地」作りは、私も数限りなくやっていました。
少年にとって、なにかを画策するときに、まず必要だったのは「秘密基地」なのでした。
中学2年まで住んでいた家は、6畳に4畳半の間取りでした。
中2の夏に引越した家は二階建てで、部屋が7部屋あり、この時、
最初は嬉しかったのですが、ある日、思い立って押入れの上の段を整理して、そこに隠れスペースを作りました。
10年前に起業するときに借りた準備オフィスは、たった2畳の広さでした。
会社勤めを始めて間もなく、恋沼薫さんが書いた次の小冊子に出合いました。
「出来た!僕のログキャビン アマチュアが挑んだ丸太小屋造り全記録」
この本を手にした瞬間、私の中に眠っていた「小屋」への気持ちが一気に再燃しました。
そして、すぐに浅間山麓に土地を購入し小屋造りを始めたのでした。
小屋造りを楽しんでいたころ、西丸震也氏の著書「山小舎を造ろうヨ」という本に出合いました。
サブタイトルには、「少し人生を考え直したい人に」とあります。
単なる小屋造りのガイド本ではなく、精神的な意味も含めて人が生きるためには何が必要かを考えさせてくれる本でした。
このことを考えさせるためなのか、どれだけの空間があれば生活するのに十分なのか、という事を、
0.5畳の広さでは、横になって寝ることはできませんが、まずは雨風をしのくことができ、ひざを抱えて眠ることができます。
0.75畳になると、リクライニングする椅子を入れて、少しは寝やすくなります。
1畳になると横になることができます。
1.5畳では土間ができ、ストーブを置いて暖をとったり、水タンクを置いた洗い場を用意することができます。
山の中で自然観察をするための拠点がほしいという人には、まずはこのくらいからスタートすれば十分でしょう。
2畳になれば、土間ができ、シャワースペースを確保できます。
3畳にもなると、いよいよトイレを設置でき、友人を呼ぶこともできるし、高さ方向を利用すれば、3人寝ることだってできます。
こうやって少しずつ広くしていき、最後には12畳になるのですが、ここまでくると、もうどうしていいかわからないほど贅沢な空間になります。
浅間山麓に建てた小屋は、私なりに「小屋」であることにこだわった広さで設計しました。
下は8畳で、これに4畳のロフトをつけました。
「山小舎を造ろうヨ」の最大規模にあたる広さ、もうどうしていいかわからないくらいの広さです。
自分の小屋に限らず、小屋をを見ると、強いエネルギーを感じることがあります。
生きていくためのヒトが必要な最小限の空間の持つエネルギーです。
のちに、壁の一部を壊して、さらに2.5畳ほど拡張しました。
その部分の土台が腐ってしまったので、来年は大改造を予定しています。
その時は、小さいからこそ表現できるアーキテクチャとしての改造を試みたいと思っています。
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