今はブログが主流ですが、その前はホームページを立ち上げていました。今ではまったく更新していません。
そのまま閉じるにはもったいない内容もあるので、少しずつブログに移していこうと思っています。
そんな内容の中に、亡くなった平田宏先生に受けたレッスンのメモがありました。
1曲目は、トローバのソナチネの第1楽章です。
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トローバのソナチネは、僕の中ではアストリアスと同じポジションで先生の十八番だったと思っている曲です。特にホセ・ルイス・ゴンザレスも絶賛していたと言われる極上のラミレスを弾いていたころのソナチネは、空気感の感じられる名演でした。
この曲の演奏でも音色の多彩さは素晴らしく、いつかはレパートリーにしたいと目標にしていました。
先生は、どちらかというとブリッジ寄りの、やや硬めの音を基調にして、音色を作っていくタイプだったと思います。このようにすることで、柔らかめの音をより引き立たせていました。
「パークニングの右手は魔法を見ているみたいなんだよ。ポジションをほとんど変えないで、硬い音とか柔らかい音を出しちゃうんだ。よーくみても、その仕掛けがわからないんだ」
こんな話しを何度かされていたのですが、パークニングの右手に興味があったようです。
さて、ソナチネの第1楽章ですが、これはまず、「ノンレガート」でと注意されました。ノンレガートの中で、走らない落ち着いた演奏で輝かしさを出すというのは難しく、それにはメリハリのある音色変化と明快なアクセントが必要でした。
この曲での右手を研究するために、僕はちょっと変わったことをやりました。ビデオプリンターを使って、要所におけるセゴビアの右手の映像をプリントアウトしたのです。どの位置で、どんな音を出しているかということを楽譜と付き合わせて研究しました。ちょっとマニアックですね。
レッスンでの要点をいくつか。
・2小節目の、ミファミ、ミファミははっきりと。
・5小節目は6弦のミを含めてアポヤンドで。
・7小節目は落ち着いて。
・7小節目4拍目裏の6弦のミから8小節にかけてはpizzで。
・9小節目はメリハリをつける。具体的にはミファミとファミレドを分け、最後のレドはスタッカートにして、次の小節のレはテヌート気味で。
・21、22小節目のpizzは、親指の腹と間接を使ってpizz風に弾く。
・24小節目は硬すぎないように。
と、これで2ページ目の途中まで来ました。書ききれないのでこれまでにしますが、ここまでだけでも実際はこの倍くらいの音色変化やアクセント、音のバランスなどが盛りこまれたレッスンでした。
特にこのところどころ音価を短めにとってしまうところがあり、それを注意しながら推進力のある演奏をするのが難しく感じられました。
「いそがない」「落ち着いて」「もたつかず」というような書きこみが、この曲のレッスンを思いださせます。
(記:2002年10月17日)
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