前の会社を20年勤めたあとに希望退職届けを出してから、8年が過ぎました。
月日の経つ早さには驚きます。
会社を辞めたときは、バブル崩壊後で、景気も世の中の雰囲気も、過去最低という状況でした。
辞めたときは、「この最低の状況からスタートするのだから、これより悪くなるはずはない!」と考えていました。
それでも当時は、起業して半年で大半の会社が挫折し、1年後に残るのはさらに一握り、3年持つことは至難の業、言われていました。
その中で、8期目に入れたというのは、我ながらがんばったな、と思います。
そうは言っても、会社は順調ではなく、「自転車操業とはこのことか!」ということを実感している毎日です。
気持ちでがんばっても、体は正直で、十二指腸潰瘍の治療中です。
このブログは、いちおう「ベンチャー社長」というカテゴリに登録してありますが、ほとんど仕事のことは書きませんでした。
ブログだけ見ると、能天気な社長、道楽者の社長、と見えても仕方がありません。
実際、道楽者ですし、能天気ではありませんが、楽天家です。
うまく行かない時の悩みや、うまく行ったときの経験を書くことはできたと思いますが、自分には何かを語るに足る「経験」が足りないと感じていました。
今でも決して順調ではなく、創業以来一番難しい状況にありますが、8年間続いているということから、何か経験を書いてもいいのでは、と思うようになりました。
これを書いている1時間ほど前、一人でお酒を飲みながら、「サラリーマン時代と比べて、何が一番違うのか?」ということを考えていました。
相違点はたくさんありますが、真っ先に思い浮かんだのは、「リスクに対する覚悟」の違いでした。
もっと言うと、サラリーマン時代は「リスク」ということをどの程度意識していたかさえ怪しいものでした。
サラリーマン時代も、目標を設定し、半期ごとの評価の時期には成果を精査され、実績主義に基づいて評価された「昇給や降格」という「リスク」と向かい合っていました。
でも、その「リスク」は、「生活」を脅かすものではありませんでした。
給料が下がれば生活は苦しくなりますが、食べていくことはできます。
降格すれば、少しの間だけ周りの目を意識する必要がありましたが、生活できなくなるわけではありません。
起業後はどうでしょうか?
今は無担保で融資してくれる制度がいろいろとありますが、常に社長の連帯保証が付きまといます。
失敗したら、社長個人が責任を負わなければなりません。
その責任は、大企業の雇われ社長のように「退陣」ということでは済みません。
最悪の場合は「自己破産」を覚悟して、毎日の経営に挑まなければならないのです。
私の会社を取り巻く今の状況は、ビジネスチャンスという意味では、大変恵まれています。
乗り切れれば、とても明るい未来が開けています。
その状況を迎えるのが早いか、墜落するのが早いか、その微妙なところで舵取りをする手腕が問われています。
このことを考えると、夜も眠れなくなります。
この状況と、サラリーマン時代のどちらが良いでしょうか?
これは、人によって違うと思いますが、私の場合は、明らかにリスクを背負った今の状況に軍配があがります。
「この状況をどう乗り切ったらいいのか?」と考えると、大きな不安が押し寄せてきます。
その一方で、これをはね返すような「闘志」もわいて来ます。
起業して夜も寝ないでがんばっても、そうはうまく行きません。
がんばったからといっても、必ずしもすぐに結果は付いてこないのです。
すばらしいビジネスプランを思いついても、そうはうまくは行きません。
自分が思うように、周りがそのプランを理解し、自分が動きたいスピード感を持って動いてくれるわけではないのです。
そんなときに、自社が置かれた悪い状況をどう受け止められるか、このことが、まずは起業という未知の航海に踏み出すための、最低限必要な素養だと思います。
「絶対にうまく行くはず」というプランを持っている方でも、うまく行かない状況を迎え撃つ自信がない人は、起業をもう一度考えてみる必要があると思います。
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