無菌性脂肪織炎という病気をご存知でしょうか?
この病気は手術の時に血管や皮膚を縫い合わせる際に用いる糸に対して、
過剰なアレルギー反応を起こして体の中や皮膚の下でしこりを作る病気です。
縫合糸反応性肉芽腫などと呼ばれる事もあります。
いったん、この病気を発症すると抗生物質などを用いても改善せず、
最終的にはしこりが大きくなって破裂してしまう病気です。
もちろん破裂する前に、糸を取り出す手術によって改善することや、
ステロイドや免疫抑制剤でコントロールをする事も出来ますが、
薬を飲み続けなければならない事がほとんどです。
最近、無菌性脂肪織炎を発症するワンちゃんが増えてきています。
一般的にはミニチュアダックスやトイプードルなどで発症しやすいと
いわれていますが、実際は犬種に関係なく発症することが多いです。
無菌性脂肪織炎の唯一の予防法は、
手術の際におなかの中に糸を残さない事です。
当院では、今まで糸で縛らなければならなかった血管を、
糸を使わなくても閉じる事ができる「エンシールシステム」という
特殊な機械を導入しております。
この機械により、無菌性脂肪織炎になる危険性が非常に軽減され、
手術のための麻酔時間も短縮され、より安全な手術が行えるように
なっています。