こんにちは、自爪ケアネイリストの東佳奈です。
私が23歳から37歳の現在までネイリストを続けてこれたのは“あの人“の言葉があったから。
私は2008年末からネイルの世界にいますので、かれこれ14年ほどひたすら爪を整えることを生業としています。
「爪を飾る」ではなく「爪を整える」
“あの人“とは?
母親?父親?先生?先輩?
いえ、初対面のお客様です。
もちろん両親、先生、先輩にはたくさんのことを教わりました。
今も私のお守りとして心にあるのは、とあるお客様の言葉です。
まだネイルスクールを出たての私がフットケアの施術に入る。
つい最近までただの素人です。
あまりよく思わないお客様もいます。
そりゃそうですよね、ベテラン敏腕スタッフだらけのハイレベルなサロンでしたし。
ネイルサロンに通う歴が20年を超えるお客様もたくさんいらっしゃいました。
私は余裕ぶりながらも、いつ「他のスタッフ呼んで!」と言われるかヒヤヒヤしていました。
カラーのデビューの頃でした。
「(とりあえず何も言われないな...)」
前を見ればお客様が不満そうな顔をされているのではないかと思い、顔を上げられずずっと足の爪と向き合っていました。
「(最後何か言われるかな。クレームが来たりして...)」
逃げたい!誰か助けて〜〜
やっとのことカラーを仕上げて
恐る恐る「お疲れ様でした。お時間かかってしまって申し訳ありません。」
そう言うとそのお客様は
「ふふ♪いいわ〜♪」
笑顔?
え?
「新しい子は、丁寧にやってくれるから♪」
本気?本当に嬉しそうに言ってるけど...
は、丁寧?
先輩がやった方が絶対きれいだよ?
もう大混乱。
私の常識の範囲外すぎて。
私がお客様を下げずんでいたような気持ちにもなりました。
そんな風に私を見てくれてたの?
先生から、先輩から、お客様から厳しい指導をいただき続けていた。
長い勤務時間と、求められるレベルが高すぎて、ネイルを辞めてしまおうとも考えました。
毎日張り詰めた緊張感の中、初めて認めてもらえたような気がしました。
(まあ道のりは遥かですけど笑)
きっと彼女はそんなに深い意味を持たせて無かったように思います。
そこから毎日お客様にお返しできるだけの技術を得ていき、
数年後にはお客様と過ごす時間が大好きになっていました。
今日は午前中あの方。午後は〜あの方で、夕方はあの方が来る♪
みんなに会いたくて。
今日はあれについて話そう。これを提案しよう。
やさぐれた野良犬が懐いちゃったんですね^_^笑
ちなみに...
その5年後、あのご婦人はお若くしてこの世を去りました。
突然だったようです。
指名制ではないサロンでしたが、結構な割合で私は彼女の施術に入っていました。
ご主人にうかがいましたが、
数日前に塗ったピンクのネイルは最期の日まで美しかったそうです。
本当にありがとうございます。
あなたの言葉であの新人ネイリストは踏みとどまれて、今もここにいます。
だから私も、おおらかに、誰かを見守り、寄り添う。
そうやってこれからも生きていきます。