ちょっと真面目な内容です。
犬のごちそう、シカ肉。
昨年から、色々な伝手を辿りながら鹿肉を入手して来た中で、
この週末、遂に鹿の一斉駆除の現場へ殴り込み…
と言うのは些か大袈裟かも知れないが、
小耳に挟んだ情報を基に市役所にまで電話をかけて頼み込み、
解体に立ち会わせて貰う事になった。
何も解体現場にまで…と思わないでもないが、
通常であれば廃棄されてしまう、
肝臓と心臓、そして胃(愛犬家にはお馴染のトライプ)を貰うためには、
どうしたって解体現場に立ち会わなければならない訳で…
(内臓の取り分けはとても“臭う”ので、ただ頼むには気が引けるというのがその理由)
日曜日、手土産のつもりで日本酒の一升瓶を抱え、
指定された場所へノコノコと出かけて行ったら、
オレンジ色の猟友会ベストを来たハンター(殆ど地元のおいちゃん)がわらわら。
ちょうど山から鹿を引きずり出して来ているところだった。
若い人、見当たらず。
女性、もっと見当たらず。
若くて可愛い女性(ネタですよ、ネタ)、もう絶対に見当たらず。
明らかに異質な存在である私に、次々話しかけて来るおいちゃん達。
-ねーちゃん、何してるだ?
-え、内臓と骨こ?したら、これから解体現場行くもんで…ああ、雪がすごいもんで場所変わるでね。
-入れもんは持ってきたかい?…(25Lと40Lの衣装ケース×2を見て)こんなんじゃ足りっこねぇぞ。
-ほら、そこにたくさん転がっとるわ(指差す先には5頭の鹿…)
-ねぇちゃん、ラッキーだでな。今日は大猟せぇ。
信州に住みながらも、ここまでの猛烈方言て最近耳にしてなかったなぁと思いながら、
解体現場への移動まで、おいちゃん達の話を聞きながら待機。
この時点で、猟果既に11頭。
山の中の解体現場に着いて聞こえて来た話では、
最終的に14頭がこの日の成果だったらしい(これまでの最多が16頭で、それに次ぐ記録だとか)
役所の人が仕留めた個体の性別、推定年齢、大きさを記録した後、雪の上で、一斉に解体開始。
気温も低く、匂いが立ちにくいはずなのに、
周囲には何とも言えない内臓(フレッシュなボロ=馬糞とアンモニア臭?)と血の匂いが立ちこめて、
さすがに一瞬ウッとなる。
けれど、立ち会います!内臓下さい!と宣言した以上、ここで引いたら女が廃る!
おいちゃん達は、モモ・肩・背ロース以外の部位や血肉をぽんぽんと衣装ケースに放り込み、
入りきらないものは雪の上へ。
-内臓は、胃袋の中身だけ出してやってからここへくれや!
地元猟友会の会長さんというおじぃちゃんが、音頭を取ってくれているおかげで、
気付いたら横にはほかほかと湯気のたった内臓が山積み。
もうね、ここまで来たらやるしかない。
いや、やるつもりで来たんだし。
内臓の山に手を突っ込み、心臓と肝臓を取り外して綺麗に筋や膜を剥ぎながら、
トライプはぐるりと切り取り開いて雪を詰めて、きちんきちんと雪の上に並べて行く。
おいちゃん達、唖然…
以下カッコ内は私の心の声。
-ねぇちゃん、えれぇ上手いだけど、そういう仕事してるだか?(いいえ全く!なわけねーぢゃん!)
-え、会社員?いやぁ、したってどこかでやった事なかったらここまでは出来ねぇなぁ?(もうヤケクソですから!)
-肉傷めねぇでここまで出来りゃ大したもんだ(ホホホ、のこぎり&包丁持参してるくらいですから)
-もう解体なんて、それだけで駄目って人の方が多いもんじゃないんかい(そんな可愛げはとうの昔にそこの山ん中に捨てました!ってか、元々持ってねぇ!)
-そんなんじゃなくて、ちゃんとした狩猟ナイフ買わなきゃだめだぁ(高ぇーし!)
-今度から呼んでやるで、イチから解体やってみるか?(もういっそ、教えて下さいまし!)
褒められりゃ悪い気はしないのが人情とは言え、内心必死。
変な風に内臓を傷付けたら卒倒ものの匂いがつくし、ヘタすりゃ犬も食わぬ…になりかねない。
細かく解体すればするほど手間と費用がかかるのに
(一応市の事業の一環のため、解体料というのが発生するらしい)
普段より細かくしてくれるのを見ていると、私がここで引くのはあまりにも失礼
(普段は、食べるところだけ取ってそれ以上は分割しないらしい)
途中、鼻が麻痺して匂いは気にならなくなったけれど、終わった時には完全に血の匂いに酔っていた。
解体終了後、この日のリーダーだったと思しきおいちゃんが、
太ももと前肢、背ロースを一本ずつ手渡してくれた。
「これはあのコ(HIMAの事)にやっちゃいけねぇよ。美味しいところだで、ねぇちゃんが食べな」
美味しいと言われる若い雌シカの肉。しかも背ロースは鹿肉では一番高級と言われる部位。
「但し、自己責任でな」
はい、もちろん!
人が食べない所を犬用に下さい、というお願いしかしていなかったし、
役所が絡んでいる以上、野外解体の肉を外部の人間に
(ヒトの)食用として渡すのは難しい、と言われていただけに、これは嬉しかった。
私の車にはこれ以上は積めない、という位に積み込んでも、雪の上にはまだ数頭分がごろごろ。
友人に声をかけたから後でもう一度取りに来ると告げると、
残っていたおいちゃん達が口々に、それは危ない暗くなるから云々と、
結局残渣を廃棄する場所まで下ろし、置いておいてくれる事になった。
感謝。
解体場所から30分くらいの畑の真ん中にある小屋まで運び、
電話で呼び出したLEJONSOLさんと合流して余すところなく全て回収。
14頭分の鹿の命、LEONBERGER達の為に有難く頂戴致します…
⇒つづく