アメリカ経済の今後をどうみるかという質問に対して、ソロスはこう答えています。
 
この25年間、世界経済を動かし押し上げたモーターは、「アメリカの消費者

による消費」です。彼らは蓄える以上に使ってきました。
  
いまそのモーターのスイッチが切られたのです。世界経済には新しいモーター
  
が必要です。
 
ただそれはこれまでのアメリカのそれのような強力なモノにはならないでしょう。
 
だから世界は変わらなければならない。
 
人々はこれまでのように消費するばかりではなく、エネルギーを余り使わない
 
ライフ・スタイルにしなければなりません。痛みを感じるでしょうが、

 そうしないと生き延びることはできないと思います。そしてよりよい世界秩序を

形成し、その中で地球温暖化のような人類が直面している大問題を協力して

解決しなければなりません。

さらにソロスは景気について

 
アメリカは、景気後退に加えて、ドル離れという現象に直面しています。
 
住宅価格の下落も重なり、金融界の損失がどれくらいになるか、見当もつかない
 
状況です。
 
したがってアメリカ経済がこれから加速度的に衰退する可能性は非常に高い
 
と思っています。

ソロスは今回の金融危機は政府の対応のまずさにも原因があり、金融当局の

責任者を痛烈に批判しています。
 
ポールソン財務長官の能力はあまり評価できませんね。
 
彼は、まさにいまのような状態にわれわれを陥れた金融技術を代表している人物

と言えるからです。(ポールソン氏が財務長官就任前までゴールドマン・サックスの

会長兼最高経営責任者を務めていたことを指している。)
 
その上、財務長官として最初に金融機関から不良資産を買い上げると主張しました。
 
おまけに彼は、負債を抱えた投資会社を救おうともしていた。


最後に、もしあなたが財務長官なら、最初から資金を金融機関に直接注入して

いましたか? という質問に対して

  
もちろんです。公的資金を受け入れたとなると金融機関の株価が下がり、株主に

痛みを与えるので、ポールソンはやりたくなかったのでしょう。
 
間違ったことをしてきたということで名指しすれば、ブッシュ大統領も、
 
いままでずっとそうでした。だから私は、政権が変わることを心待ちしています。