遅咲き、という言葉がはたして真にそぐう表現であるかどうかは分からないけれど、
目に見える結果として注目され始めたのは、昨季ぐらいからだろうか。

「Westside Story」での魅せる力と、ワールド5位という快挙。


私が最初に興味を持ったのは、2016-2017シーズンのSP、ベートーヴェンの「運命」だった。
クラシックの王道をアレンジしたデイヴィッド・ギャレットの「交響曲第5番」

スケーターは割と得意不得意が分かれるもので、ポップな音楽が得意であれば ゆったりとした曲はちょっと・・とか、
クラシカルな曲が得意であれば アップテンポな曲はキレが・・ということが多いのだけれど、
彼は1曲の中で、その2つをきちんと表現していた。

まだジャンプが決まらなかったり、スピードに上手くのれていなかったりという面はあったとしても、
「表現したいこと」「伝えたいもの」が見える選手だと思った。


昨季のプログラムは、SP・フリー・EX全部、実は私の好きなジャンルの曲で、
ツィゴイネルワイゼンは超絶技巧のヴァイオリン曲だし、
「Westside Story」はバーンスタイン作曲の、「巴里のアメリカ人」はジーン・ケリー主演のミュージカル。

どの曲も曲だけでワクワクしてしまうのだが、彼はその世界観をきちんと表現していた。
つまり、プログラム持つの世界観を踏襲出来ているのだ。

これは実は結構難しい。
よく「オリジナリティが・・」とか言うけれど、基になる素材を咀嚼・表現出来た上での個性と、
そもそも個性しかウリのない(失礼・・!)演技者のそれとでは、ベースの厚みが全く異なる。

フィギュアスケートは、スポーツでありながら表現媒体であり、
そこにはプログラムに対する敬意や理解がなくてはならないと私は思っている。

ただのノリや雰囲気で「表現」とは言われたくないし、リズムが取れてればいいんでしょ、といったスケートも
厳密には「演技」とは言えないと思う。

まぁ、そこは。
たぶん観る側もジャッジも色々なわけで。
(好みとかね)

人間は自分が興味のある対象以外は、目に入っていても脳がスルーするらしく、
(じゃないと情報量が多すぎて脳が処理出来ない)
受け止める側にそれだけの背景がないと中々評価して貰えないことが多いので、
後はもう、有無を言わさない圧倒的な「何か」で、取り込んでいくしかないんだよなぁ・・と思うのだが、
そういう域に、彼は達することが出来るんじゃないか、と期待しています。


今季のEXもいいですよね。
なかなかスケートでは選ばれないジャンル(というか振付)だけど、こういうのもホントに巧い。

ジャンプについては。
踏切のタイミングとか身体の締め方かなぁ・・と、素人ながらに見ております。

スピードと氷の力をもっと跳ぶ力に変換出来ると、たぶんもう少しラクに跳べる。
あと、軸がちょっと遠心力に負けて緩くなりがちなので、ぶれないように締めることが出来るとラクかな、と。

個人的には、降りるまでをイメージしてジャンプの練習をすることで、全体的なバランスが取れるようになる気が。


SPは、振付をミーシャに頼んで、また違う表現を模索しているのかな。
腕や膝の動きが以前よりもやわらかくなっていて、
スケーティングも含めていいものを吸収出来ていると思う。

見て学ぶということは意外とすぐに身になったりするので、海外のスケーターと滑ることで、また変わるだろう。


今季から特別強化選手になり、以前よりは練習しやすい環境になったのかな、とも思う。
PCSが全体であと10点ぐらい上がって、彼を応援してくれるスポンサーが付けば、
また違うアプローチも見えてくると思うのだけど、ね。

環境もまた、人を育てるから。



時々。
自分がもの凄い資産家だったら、影武者たててこっそりスケーターを支援するのになぁ・・と思う。
(自分の顔は出さない。それはフェアじゃないし、好きじゃない。元々権力とか嫌いだし)

自分が作ったスケートリンクで清掃員とかしながら、頑張ってる姿を見て応援したいな。(笑)