あさみちゃんと最後の朝食。
「私、今日の夕方、グラナダへ向かうことにしたよ」
晴れやかな気分で言い放った直後、
なんだかとてもさびしくなった。
あさみちゃんは今週いっぱいマドリードに滞在して、来週セビリアへ行くと言い、新しく借りた携帯の番号を書いて私の前に置いた。
携帯の短期契約があるのだが、私は知り合いがいるわけではないし、かけるのは両親と隣に住むいとこ宅しかない。
私はテレフォンカードで済ませるつもりだった。
あさみちゃんには、こちらから連絡すると伝えメモを受け取った、
お互い気をつけようね!
励ましあって、抱き合い背中を叩いた。
「ありがとうね!出会ってくれてありがとうね」
ありがたくてありがたくて、どうしましょう、そんな心境だった。
涙が溢れ出て、離れたくなかった。
寂しい!すごく寂しい!
( ̄。 ̄;)強烈だな、と深呼吸した。
フランクフルトで出会ったあさみちゃん。
彼女の存在は、私に勇気と(小さな)自信を与えてくれた。
なんとかなる!と常に前を向けた。
本当に素敵な出会いと豊かな時間の贈り物。大切な宝。
フランクフルトで偶然のようにして出会ったけれど、これも決まっていたのかしら、、
カフェオレのカップを顔の前にして、その向こうにいる彼女を見てクシャクシャになった自分を隠した。
あさみちゃんと過ごす最後の『今』を味わっていた。
まだまだ始まったばかりの旅。
はやくも泣いていた。
“宝の時”と引き換えになった別れだった。