出発の3ヶ月前。
そろそろ、上司に“辞める”と伝えなきゃ。私は何のためらいもなく、早めに出勤したある朝、上司に話しました。
「先生、、、」(大丈夫ですか、と確認するように)真っ直ぐ見て。
上司はぎこちない笑顔で「ん?」といった表情をして見せた。
「一人旅に出るので、5月いっぱいで辞めます」
シンプルに伝えた。
あまりにも突然で、さっぱりとした言い方に、「えっ?えっ?えっ?」目をパチクリさせて繰り返した。
「今、何と?」そんな表情だった。
その頃、新しく取り入れた治療が順調で活気づいていました。
そもそも、その治療のアシスタントを以前の職場で経験があった私は、上司にやりませんか、と提案したのです。
その時点で、他にアシストできる人がまだ、いなかった。
伝授より、模索と改良段階でした。
しかし、そんなことは引き継げばいいのです。
仕事は一人じめするものではない。
走り出した上司にしてみれば、不安要素だったのかも知れません。
とても可愛がってくださっていましたから、少し気が引けましたが、前進しかなかった。
しばらく、自分を納得させるかのように「そうか…そうだよね。あなたの人生だから、、」とブツブツ言っていた。
そろそろ終わらせたいな、と思っていると「で、どれくらい行くの?」と聞かれた。
あ、そうか。それ、言ってなかった。「2ヶ月を考えています」私はきっぱり言って終了にもっていこうとしていた。
そう、私と上司が長いことバランスよく働けたのは、わりとネバネバグジグジ細かいシツコイ系の上司に対して、一発で終わらせたがり屋の私。
この真逆コンビが意外にもうまく回っていた。
私はピンポイントで動きたい。
彼は回りくどくても納得しながら体裁良く進みたい、だった。
“2ヶ月”と聞いた上司の顔は、、
グレーの分厚い雲が割れ、太陽光線が広がる、そんな感じだった。
パーっと明るくなった。
そうしてこう続けた。
「なぁーんだ、それなら休んで行ってきてよ!こっちは(家内も賛同して)何とかやるからさっ♪」めちゃくちゃ強烈なスマイルだった。
私はポカンとなった。
「え、、と、休職ですか?」
彼はもちろん!と頷くと「じゃ、そういうことで」と部屋を出て行った。
私は気分が重かった。
戸惑いがあった。
遊びで長らく休んで、帰ったらノコノコと元のポストで再び働く…
他の人は面白くないよね、と思った。
しかし、帰国後、行く宛はない。
それも覚悟で決めましたが、こんな風に言って頂けるのは、とてもありがたいこと。
数日考えた。
そうして、長期休暇を頂くことにしたのです。
引き換えに、なんとなく「いいわよねー」な視線を浴びての3ヶ月でした。
そして出発前のお給料日。
「早いけれど。気をつけて、楽しんできなさいね」と、早めのボーナスまて下さったのです。
まさか頂けるなんて、思いもしませんでした。
協力する人しかいない、もうそんな流れの中に居たのです。