ポイント・バローを目指して(リベンジ編) | FreeFlowLife

FreeFlowLife

~なんちゃって薬剤師が行く世界放浪の旅~

ツアーの車がホテルへと向かう車の中。

僕はまだ諦めていなかった。

どうやったら自力でポイント・バローへとたどり着けるか考えていた。

車では行けない。バギーさえあれば海岸線沿いに岬の先まで走れるだろう。

陸の孤島のこの町でもレンタカーはあるようだが、バギーのレンタルなんてあるのだろうか??

その辺の人に交渉したら貸してもらえるだろうか??

ホテルへ着き、ビスケットとリンゴをバックにつめるとすぐに部屋を出た。


午後4時過ぎだった。

とりあえずホテルから北にあるスーパーへと歩いた。


こんなときに限ってバギーはなかなか通ってくれないものだ。


スーパーについた。






$Free Flow Life




$9549

。。。

。。。

。。。



買うわけがない。笑

のどが乾いていたので1Lのスポーツドリンクを買うと店をでた。



さらに北へと歩く。

何台かのバギーが隣の道を走っていった。


さらに北へと進む。

ついに、チャンスが訪れた!

1台のバギーがこちらに向かってきたのだ!

しかも2人乗りではなく1人で運転している。
貸してもらえないとしても、うまく交渉すれば後ろに乗せて連れて行ってくれるかもしれない。

僕は交渉するべくバギーを止めようと手を挙げた。


おじさんは近づくに連れて僕が合図を送っていることに気がついたようだった。

よし。

すると僕を見ながら手をあげた。

そしてスピードを緩めることなくそのまま走り去って行ったのだった。


違う!!

僕は挨拶がしたかったわけではない><



せっかくのチャンスを逃してしまった。


さらに北へと歩く。


家の前に男の子たちが遊んでいた。

挨拶をして、ポイント・バローまでどれくらいの距離があるのか聞いてみた。

彼らは相談しあった後、分からないと答えた。

「歩いて行けるか??」

僕は尋ねた。

男の子は照れているともあきれているともとれるような態度で首をたてにふった。


さらに北へと進む。

段々と人気が少なくなってしまった。


僕は歩いてでも行く覚悟を決めた。


さらに北へと進むが、フットボールコートもゴミ処理場もなかなか見えてこない。


ツアーの車で行った場所に戻るまででもかなりの時間がかかりそうだった。


しばらくすると後ろからきた一台のピックアップトラックが僕の横で停車した。


「どこへ行く?北か?」

男は声をかけてきた。

僕がそうだと答えると。男は首を動かし乗って行けと合図した。


おいしそうにタバコを吹かしながら、ガハハと漫画風に笑う、ピックアップトラックの似合う男だった。

僕がポイント・バローへ行くと言うと、

「熊に食べられるかもしれないぞ。」

と言って例のごとくガハハと大きな声で笑うのだった。

それから、この先はクローズしてるから海岸線沿いに歩いていくといい。とつけたした。


道がクローズしてる場所までは思ったより遠かったので、とても助かった。

男に例を言って車を降りる。


やっとスタート地点(ツアーの終了地点)にたてた。



$Free Flow Life




男の話では1時間位歩けばつくだろうという話だった。
北極海に氷の張っていない今なら北極熊がでることもないだろう。。。




北へと進む。



$Free Flow Life



トドの死骸だろうか??
頭はすでになく、今にも破裂しそうなほど腐敗が進んでいた。


えらいところまできてしまった。




さらに北へと進む。



$Free Flow Life



これはまさかクジラの髭ではないだろうか!?


えらいところまできてしまった。




さらに北へと進む。


$Free Flow Life


これはクジラの骨ではないだろうか!?
27cmの僕の足と比べればその大きさが想像できるだろう。



えらいところまできてしまった。



一時間ではきかなかったように思う。


細かい砂利が堆積してできたこの岬は一歩一歩足が沈み込んでしまいとても歩きにくい。


僕はがんばって歩みを早めた。


。。。


。。。


やがて


。。。


。。。



アラスカの北の大地の果てに僕がみたものは


。。。



。。。



山のように積み上げられたクジラやカリブーの骨と、

そこに残ったわずかな肉をついばもうとする、

たくさんの鳥達の姿だった。。。



$Free Flow Life











$Free Flow Life










$Free Flow Life












$Free Flow Life









そして僕はその山を越え、北米大陸の北の最果て、陸と海との境界線へと辿り着いたのだ!



$Free Flow Life



この先にあるのはこの海だけ。


その海はとても冷たくて、、、とてもしょっぱっかった。。。



ここまでやってきた満足感の後の頭に浮かんできたことは南米大陸の最南端のことだった。。。


そこにはどんな景色が広がっているのだろうか....??






僕は岬の逆側を歩いて帰ろうと、小高い砂利の丘をのぼった。



!!!???


!?!?!?


岬にはまだ先があったのだ!?




$Free Flow Life




ひょっとしてここが最北端ではなかったのか??

そもそも最北端を示した看板がたっているわけでもないので、ここだという確信はなかった。


もちろん周りに尋ねる人は誰一人としていない。


岬の続きの先端をみると、そっちの方がでっぱっているような気もする。

日が沈もとしている方向が当然西なのだろうけど、正確に北はどちらだろう??


僕は方位磁石をとりだした。

だが、それはとんでもない方向を指していて、みるたびに違う方向を指した。


壊れている。。。


100円ショップの方位磁石を買うのはもうやめよう。


北極海に投げ捨ててしまいたい気分だった。


僕はiPhoneにコンパスの機能がついていることを思い出した!


だが、これもうまくいかずコンパスの干渉がどうのこうのとでてきてしまう。

そもそもオフラインでも使える機能だったか確信がない。


大切にポケットへとしまった。




太陽は西の水平線までかなり近づいてきていた。


岬の先端まではかなりの距離がある。
きっと今いるここが最北端なのだろう。そんな気がする。うん。そうそう。



だが、

ここだとして引き返して、もし向こうが真の最北端だったら。。。



明日、またリベンジするチャンスはないだろう。

けれど、このまま進んでいたのでは日暮れまでには帰れない。


でも、後悔もしたくない。


僕は、


走った。。。



こんな北の大地で汗だくになるとは思ってもいなかった。


その岬の先端までもまた1時間以上かかった。

これでどっちに転んでも僕は北米大陸最北端へ到達したことになるだろう。

でも、やはりここではなくさっきの場所のような気がした。

自分が今まで進んできた道を振り返ると気が遠くなりそうだった。



えらいところまできてしまった。



帰る途中で日は暮れてしまうだろう。


まさかここで座り込むわけにもいかない。


来た道を戻る。



途中で僕は嫌なものをみつけてしまった。


熊の足跡だ。


まさか、冬の時期だけではないのだろうか??

不安がよぎる。


幸い、目の届く範囲に熊の姿はなかった。



さらに、急いで戻る。



こんな場所で、こんな時間に。。。


やっとのことで、最初のゴール地点までたどりつこうとしている時だった。




僕はバギーに乗った一人の男に出会ったのだ。




鼻の下に長いひげを蓄えた白人の男性だった。

僕が岬の先端まで行ってきた帰りだと話すと彼は僕に聞いた。



「ガンは持っているのか?」



答えはもちろんNoだ。


彼は昨日ここで3頭の熊をみたのだと言う。

彼のバギーの前にくくり着けられたかごにはたしかにガンが入っていた。


彼は僕に聞いた。



「乗りたいか?」



答えはもちろんYESだ。


彼はこの町で30年クジラを捕り続けている人だった。

10月に解禁されるらしく、来月にはまた漁にでるという。

それは"very exciting"なものらしい。

危なくないのかと聞くと、彼はこれまでに3人の仲間を亡くしたと答えた。


今日は仕掛けておいたフィッシュネットに魚が掛かってないかみにきたそうだが、
成果はなかったららしい。

実際、どこが最北端なのか彼に聞くと、親切にも彼はすでに回り道をしてそこに向かっていてくれてたのだ。



「here.」



と彼が行った場所は、紛れもなく僕が最初に最北端だと思っていた場所だったのだ。



わざわざ、岬の先端まで行く必要はなかった。


バギーの後ろでは汗をかいた体に夜の風が吹き付けてきてとても寒かったが、
自分が歩くはずだった道をこうしてじっと寒さに耐えているだけで済むのだから苦には感じなかった。


彼は往復で30km以上はある。very hardだ。と言って、親切にもホテルまで僕を送り届けてくれた。

途中あった、倒れてつぶれているドラム缶は昨日熊がやったものだと言う。。。


ホテルに着き、僕は何度もお礼を言うと、来月の漁で大きなクジラを捕れるように祈っていると伝えた。





『ポイント・バロー』

北米最北端にある岬は今も浸食が進んでいるらしい。


$Free Flow Life





$Free Flow Life




僕が立ったあの場所もいつかは海へと帰ってしまうのかもしれない。


今思うとこの写真の地図をみればどこが最北端であるかは一目瞭然なのだが(笑)


最後に北米大陸の最北端を右へまがった岬の先端で僕が見たものも付け足しておこう。

それは大空に向かって身を寄せ合う6本の流木たちと、、、



$Free Flow Life




サイズがあがればサーフィンできるんじゃないかと思わせる、脛くらいの小さな小さな波だった。。。



$Free Flow Life



僕は、冷えた体を暖めたら、ホテルの向かいの北米最北端の日本食レストランでおいしいものでも食べようとベッドへ潜り込むと、そのまま朝まで深い眠りへとついてしまったのだった。。。