友達のY.Mには19歳下の彼女が居る。付き合ってもう7~8年になるがボチボチ婚姻届けを出すかなと思た頃に喉頭癌を発病したんよ。運命の悪戯というか皮肉にも仕合せを目前にした悪夢や。現在は仕事しながら抗癌剤治療で通院やっとぉはずやが、幸い自営業やから周囲に迷惑が掛からず自分で仕事の調整が出来るから、どーにかこーにかやりくりが可能になっとるわ。

 抗癌剤が非常にしんどいのは俺の知人が経験して話を聞いてんので知ってんやけど、国が大麻を認めてたら少しは体が楽になっとる筈やねん。大麻は癌に対して特効薬やさかい抗癌剤よりも効き目がある。然し日本の医師会が「薬が売れなくなる」の理由で許可を認めてへんのや。

 俺等の歳で癌に掛かったら体力的な要因もあるがメッチャしんどいで。Y.Mかて俺が想像する以上にしんどい思うわ。ステージ2までなら治癒する可能性は高いけど副作用が問題やしな。彼女も懸命に精神的な励ましをやっとぉ思うけど、本人にとっちゃ何よりの薬やと俺は思とぉぞ。

 ある日奴から彼女のことで「愛って何?」って問われたことがあった。咄嗟で狼狽して返答に躊躇したことがある。こんな質問されたことあらへんし俺の人生でもこんな難しい質問は初めてやわ。刹那考えたなぁ…暫く沈黙して「守ってやれんの?もし駄目になっても悔いはないん?自分の全てを犠牲にしてやれるん?」思いついたことを逆に質問して、「真心で接したらえぇんちゃう」て答えた記憶がある。彼奴もかなり貧乏やが金がのぅても相手はそんな気持ちを見てくれんで。

 俺は翳から見送るしかあらへんけど、彼と同い年やし確かに先々心配と不安は幾つもある。Y.Mが彼女を想うように俺の場合は梓かな?職場で色々と悩みや苛立ちを抱えてるようやけど、気が強いし我も強いので人前では弱音を吐かん女やねん。突っ張ってストレスを溜めるより俺に相談してくれたら嬉しいが蟠りがあんねやろ。思い切って羽目を外すことかて肝心なんやで。