昨日は肝臓癌で故人になった高谷邦子の3回忌法要が行われた。側近の遺族と俺だけの質素な法事が11時に始まった。遺影を掲げられると元気な頃の笑い声と囁きを思い出すわ。癌て病気は発症する部位によって状態が著しく違うて肝臓は発見された時点で末期状態。
   亡くなって丸2年で故人がおらん生活には慣れたけど、佑佳ちゃんの方が合わぬ叔母との確執で精神的に苦しめられてんので、親がおらん現実があっても母親の存在を恋しがる。
   叔母は外面が非常に良い。俺に対しても優しい言葉で話し掛けるし、佑佳ちゃんから聞く叔母とは丸でちゃう。猫を被ってるが腹黒で本音と建て前は程遠い持ち主や。元々声が綺麗な人やし物腰は柔らかいけど、実際は強情で頑固で一皮剥けば邪険そのものやねん。それと俺に対しては邦子との仲もあって親切やが、陰では盗っ人扱いの誹謗を噂しとる。親が残した財産を狙う者は何人も敵で、身内さえも排斥したがる周到な狡賢い女性やで。
   さて法要を済ませ須磨シーパルホテルで懐石料理のフルコースに招かれた。これもいつものお決まりで法要の時間によって常にセットされとんや。フルコースは有り難いねんけど刺身とか天麩羅が出たらビールや日本酒が飲みたいよなぁ。でも叔母の亭主は車を運転するさかい飲めんやろ。酒を飲む旦那はんの前で俺だけ飲むわけにがいかんがな。刺身と天麩羅を眺めながら生唾飲んでアルコールを我慢すんのは辛いね。目の毒やぞ、あれは…
   午后2時食事を終えて帰ったけど佑佳ちゃんが不憫でならぬ。お婆ちゃんの世話で住み込みをしとぉ叔母が居る限り自由があらへんもんな。束縛され命令され支配され翼をもがれた小鳥と一緒で、家出したい気持ちは分かるがヤケになって出たら叔母の思う壺やしね。