俺の字は汚いで…の巻


佑佳ちゃん工場で請求書の宛名書きをする役目をしてんねん。俺は佑佳ちゃんの字が稚拙なんは心得てんので、そんでも住所や宛名が普通にかけりゃ別に問題あらへん思てた。達筆の必要は無い。最近その宛名書きのことで叔母ちゃんと対立して、会社の帰り俺の部屋を訪ねて相談に来たんよ。
叔母ちゃんが言うには「大人の字で書きなさい」なんやと。そんなもん関係無いやん。譬え汚い字でも普通に読めたらそんでえぇやん。字は稚拙でも普通に書けたらえぇやん。何で筆跡に拘るんよ?
勿論俺は佑佳ちゃんの味方になって意見を述べたんや。すると2~3日して叔母ちゃんが俺の家へ相談にやって来た。叔母ちゃんとは邦子の姉で肝臓癌で他界したが、本来なら再婚予定やった相手の姉やねん。11年も佑佳ちゃんを娘同然に見守ってきたが、その誼で今も姉さんとは関わりがある。邦子と再婚を果たせてたら姉さんと呼ぶが、生憎それが叶わず叔母ちゃんのままで呼んでんねん。
さて叔母ちゃんやが徐にバッグから、佑佳ちゃんが書いた封筒を俺に見せたんや。俺は絶句した。稚拙…そんなもんやあらへん。字が小さいのが特徴やったんでイメージと全然ちゃうねん。大きい書いたらこんな風になってまうの?「こりゃひどいな」て俺も思わず漏らしてしもながな。参った‼︎
叔母ちゃんに「ペン習字を習わせてみては…」て提案したけど、叔母ちゃんも「考えるわ」と一言呟いて帰りはった。字なんてバランス取れてりゃ汚ぁてもえぇねん、それなりに読めるんやから…
俺は決して叔母ちゃんの味方した訳とちゃうで。然し宛名書きも立派な会社の顔や。佑佳ちゃんの筆跡で出したら 拙いわ。稚拙なりにコツがあんのよ。それを教えてあげなあかん。俺かて字は汚いけど元デザイナーやから知識はある。叔母ちゃんはヘンコやけど多少でも佑佳ちゃんのこと考えてのことやろ。佑佳ちゃんと叔母ちゃん馬が合わんと言うか、反りが合わんと言うか仲が悪いねん。
佑佳ちゃん怒って俺とは絶好中。誤解されてんやが二人の間におる俺は辛いがな板挟みやで。暫く冷却期間置くしかあるまい。そしたら昨日佑佳ちゃんから「ゴメンなさい」て…。あぁ疲れるわ。