祖母と軸 | solid alone

祖母と軸

一昨日祖母が逝った
94歳の人生、亡骸は驚くほどきれいだった。

彼女は一言で言ってお嬢様だ。生涯自ら食事の支度も掃除もしたことはなかった。
大正生まれの気丈さもない。ただやさしくて無欲でそしておだやかなヒトだった。

ボクはおばあちゃん子だ。
一人っ子のボクは、同じ一人っ子の祖母と強く通じるものがあった。
幼い頃から祖母とはいつも一緒だった。ただ彼女にはお嬢様特有の気高さがあり
それは汚してはならない崇高なものであると、漠然と感じ考えていた。
だから嫌な事、悪い事は隠し、良いことだけを話して来た。彼女は笑顔でいつも聞いてくれた。
その笑顔にどれだけ救われただろう、ある意味ボクのマドンナだったのだ。

ボクに息子が出来た時、祖母に名づけ親になって欲しいとお願いした。
今まで見たことのないような熱意(4種類の姓名判断本で一週間検討したそうだ)で考えてくれた名前
その名前はみんなが自然に受け入れてくれる心地よい響きをもった名前だった。
(無条件でその名を受け入れてくれた元ツマには今も感謝している)

無欲な彼女の好きなこと
それは庭の手入れと手芸、そして軸を眺めることだ。

長い入院生活から帰ってきた祖母を迎えたのは
ちょうど先週、急に寒くなって来たので掛け換えた、菱田春草の湖辺白鷺図。
祖母もボクも大好きな軸だ。
いったい何回この前で一緒にお茶を飲んだだろう。

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