分化細胞を用いた核移植ES細胞は、自己複製能と多能性を獲得できるのだが、核移植ES細胞は、なぜ、この能力を獲得できるのだろうか?
ここを考えると、STAP細胞が、専門家たちから疑いの目で見られた一部の要因が明らかになる。

STAP細胞は、なぜ、多能性能と、自己複製能を獲得し、キメラ作製までの能力を持つのか?


論文発表当初、専門家たちは、酸浴という刺激だけでは、ES細胞やiPS細胞様にはならないと考えた。
分化細胞のエピジェネティック修飾の解除は簡単には進まないはずと、専門家たちは大いなる疑問を持ったであろう。

では、分化細胞の核を用いた核移植ESは、どのようにエピジェネティック修飾状態が変化しているのであろうか?
まず、核移植ESは、そんなにホイホイとできるものでないということが重要だろう。
やはり、生き物である細胞は、個々の細胞能力の個体差に強く依存している。
それが、成功率の悪さに影響している。
いずれにしろ、細胞改変に成功した細胞のみが、核移植ESになる。
細胞改変に失敗すれば、核移植ESになれない。

そして、核移植ESは、卵子の細胞質とセットにしなければならない。
核移植ESになるためには、卵子由来の細胞質が必要なのである。
ここにエピジェネティック修飾状態を変化させる能力があると予想されている。
ここの科学を専門家並みに理解するのは困難だが、以下のような論文が参考になるかもしれない。


分化細胞からの核移植の成功率が低いのは、エピジェネティック修飾 DNA メチル化の関与があるとの論文があった。
www.agr.hokudai.ac.jp/gs/master/2014/14011100.pdf

この論文は2015年のもので、イントロダクションは以下であった。青字

>体細胞クローン個体の作出率はわずか数%であり、原因の一つに遺伝子発現調節を担うエピジェネティック修飾 DNA メチル化の異常が考えられている。体細胞クローン胚では通常胚に比べメチル化レベルが高いという異常が報告されており、これが様々な遺伝子発現異常を引き起こすと考えられている。しかし、今のところ人為的に特定領域の DNA メチル化レベルを制御する科学技術が無いため、根本的な改善策は無い。本研究室では、胚が本来持っている脱メチル化機構に着目した連続核移植法(serNT)を行い、クローン胚の高メチル化状態を低減することに成功しているが、作出効率が低く、得られた胚の正常性は未確認であった。


以上で示しているのは、胚にはもともと、メチル化を外す能力があるということだ。
分化細胞を胚細胞と接触させることで、胚細胞由来の何か?が分化細胞のエピジェネティック修飾を変える。
細胞を改変させる技術として、胚関連細胞が利用されているのである。



あるいは、以下のような的場章悟・Yi Zhang氏による論文 Cell Stem Cell, 23, 343-354.e5 (2018) も参考になるかもしれない。
この研究成果も、STAP論文以後の発表である。
紫字

核移植細胞は、正常細胞といかに異なるか?が説明されている。
この研究では、核移植ES細胞の効率化を図っている。
そして、脱メチルが広範に進むことが、核移植の効率性と関連していると示している。
クローン胚も、受精胚並みに着床前期の卵割で大規模に脱メチル化されていた。
それが、同時に、クローン胚のインプリント機構にも影響を及ぼし、正常分化の障害にもなり得ているらしい。


当ブログでの引用は、”おわりに”からはじまり、”はじめに”に続き、引用最後は、インプリント異常の具体的結果である。

詳細は、オリジナルに戻って論文をよんでほしいが、著者が”おわりに”部分で、研究のまとめをしめしている。
そのため、理解しやすいように、この”おわりに”文章でしめされたまとめ部分を先に引用してみた。

そして、核移植細胞とはどのようなものか?を再確認するためには、”はじめに”に戻って読んでみよう。

インプリントとは、以前に紹介したように、一部の遺伝子が、母親、父親どちらかの遺伝子由来のみ発現するようになる機構である。
この研究では、生命のしくみであるインプリント現象が、核移植細胞では破綻する事を示している。
正常細胞分化で働くインプリント機能が、核移植細胞では失われることで、細胞分化に必要な機構が正常に進行しないようだ。




”体細胞クローン胚においてはヒストンのメチル化によるインプリント制御が破綻している”

おわりに
カエルにおける最初のクローンの報告から50年以上,そして,クローンヒツジの報告から20年以上がたつが,卵子における体細胞核の初期化の機構はいまだにほとんど明らかにされていない1).この研究において,筆者らは,今後のクローンの研究を進めるうえで重要と思われるいくつかの情報を示した.まず,これまで筆者らが同定してきたクローン胚の発生を阻害する主要な因子を回避することにより,マウスを用いた過去のいずれの報告よりも高いクローン個体の作出の効率が記録された.今後は,複雑にからみあう初期化の機構およびその阻害の機構をシンプルに理解するためにも,これらの因子を除去した条件で詳細な解析を進めるべきであろう.一方で,クローン胚に特有の胎盤の形成の異常や着床ののちの発生の停止はいまだに残る謎である.その原因の可能性として,クローン胚においてはヒストンH3のLys27のトリメチル化によるインプリント制御が完全に破綻することが見い出された.ヒストンH3のLys27のトリメチル化によるインプリント制御をうける数十個の遺伝子のなかには胎盤の形成に関与する遺伝子や着床ののちの発生にかかわる遺伝子が多く存在したことから,おそらく,これらの遺伝子がインプリント発現のパターンの喪失により過剰に発現することがクローン胚の発生の異常の主たる原因なのではないかと考えられた(図2).じつは,Xist遺伝子もそのようなヒストンH3のLys27のトリメチル化によりインプリント制御をうける遺伝子であり10),クローン胚においてXist遺伝子が過剰に発現するのはヒストンH3のLys27のトリメチル化によるインプリントのマークが存在しないことによると考えられた.



はじめに
体細胞核移植法は,卵子に分化した体細胞核を注入することにより全能性をもつ受精卵の状態へと初期化する技術である.この過程においては,ドナー細胞のもつ種々のエピジェネティックな修飾が大規模に初期化されると想定される.体細胞核移植法はドナーとして使用した体細胞と同じゲノムをもつクローン個体が作出されることから,畜産や絶滅危惧種の保存など幅広い応用が期待されてきた1).しかしながら,体細胞核移植法を実際に応用するうえで,クローン個体の作出の効率が非常に低いことが大きなハードルとなっている.たとえば,マウスの場合,クローン胚のうち正常に胚盤胞期に到達するのは約30%であり,胚を子宮へと移植したのち出生にいたるのはわずか1~2%である.さらに,このようにして出生にいたったクローン個体は,胎盤の過形成などの異常をともなうことが知られている.これらの表現型から,体細胞核移植による初期化においてはのちのクローン胚の発生を阻害するようなエピジェネティックな因子の存在することが強く想定された.
 筆者らの研究グループは,これまでの研究において,マウスにおいてクローン胚の発生を阻害する2つの重要な因子を同定した.ひとつはドナー体細胞に存在する抑制性のヒストン修飾の一種であるヒストンH3のLys9のトリメチル化である2,3)(文献2) は 新着論文レビュー でも掲載).このヒストン修飾はヒストン脱メチル化酵素をコードするKdm4d遺伝子を強制発現させることにより除くことができ,その結果,クローン個体の作出の効率は8倍ほど上昇する.もうひとつはクローン胚において過剰に発現するXist遺伝子である4)(新着論文レビュー でも掲載).この異常なXist遺伝子の発現はドナー体細胞として片方のアレルにおいてXist遺伝子をノックアウトした細胞を用いることにより抑制でき,その結果,クローン個体の作出の効率は8~9倍ほど上昇する.この研究においては,これらのクローン胚の発生を阻害する2つの因子を同時に取り除き,クローン個体の作出の効率がどのくらい改善するのか,そして,この系を用いて初期化を阻害するほかの因子を探索した.



2.胚盤胞期のクローン胚においてはDNAメチル化が大規模に初期化されている
Xist遺伝子をノックアウトしたドナー細胞とKdm4d遺伝子の強制発現との組合せにより作製したクローン胚の多くは着床の直後から発生の異常を示しはじめたことから,クローン胚の発生を阻害するエピジェネティックな因子は着床の直前の胚盤胞期胚においてすでに存在すると想定された.そこで,組合せにより作製した胚盤胞期のクローン胚においてDNAメチル化をゲノムワイドに解析し,受精胚,ドナー体細胞,精子,卵子の情報と比較した.その結果,受精胚においてはもとの精子および卵子のDNAメチル化の平均が約70%であったのに対し,胚盤胞期においては約19%にまで脱メチル化された.これは,着床前期の卵割の過程においてDNAメチル化が大規模に脱メチル化されるという報告と一致した5,6).一方で,クローン胚の場合,ドナーである胎仔線維芽細胞においては約78%と高度にDNAメチル化されていたのに対し,胚盤胞期おいては約16%にまで脱メチル化されたことから,着床前期の卵割の過程においてDNAメチル化が大規模に初期化されることが明らかにされた.実際に,RNA-seq法により胚盤胞期のトランスクリプトームを比較した結果,検出された8921個の遺伝子のうち受精胚とクローン胚とで発現量が3倍以上の差を示したものはわずか92個であった.これらの結果から,Xist遺伝子をノックアウトしたドナー細胞とKdm4d遺伝子の強制発現との組合せにより作製されたクローン胚においては,DNAメチル化およびトランスクリプトームが胚盤胞期までに正常なレベルにまで大規模に初期化されることが明らかにされた.









このように、分化細胞のエピジェネティック修飾を人工的に変化させることは、研究者の創意工夫が必要であることがわかる。
この実験ではうまくいったが、細胞の仕組みは簡単にはわからないし、解明できないことも多い。
研究者たちは人工的に改変努力して、核移植細胞を受精卵並みにしているのである。
つまり、このように人工的な改変作業は大変なのだから、なぜ、STAP細胞ではそれが起きたのか?と、専門家たちは疑問に思ったのだろう。



STAP論文は、初期化現象が確認され発表になった。
新規科学は、理論は未知でも、現象が証明されれば発表になる。
STAP論文では、酸浴がXist状態に影響を及ぼしたことが示されているが、STAP細胞において遺伝子制御が変化しているのだ。
遺伝子を調整することで細胞は改変するのだが、酸性の刺激がどのような遺伝子改変を起こすのか?はこれからというところであった。

学会員の多くの疑惑に会い、STAP細胞改変の科学的実態解明研究はストップしてしまったのである。
しかし、薬剤などの人工手段を用いた細胞改変の研究は進んでいる。
遺伝子を強制発現あるいは、ノックアウトする人工的手技の成果と並行して、細胞自体の持つ能力の研究が重要である。
自然治癒力としての治療展望に影響力があるかもしれない。
外部刺激により、細胞自体が持つ改変能力はいかなるものか?は、いぜんとして大事な研究テーマであろう。





ウキペディアのiPS作製の記述を見ても、細胞改変の困難さを容易に知ることができる。
多くの記載があるので、いろいろ参考になることがある。

上記のサイトを読んで見ても、分化細胞のエピジェネティック修飾改変には、大変な手間暇がかかることがわかる。

>体細胞の核を取り出し、核を取り除いた未受精卵[注 4]内に移植することによって、核内の遺伝子発現パターンが未分化な細胞のパターンにリプログラムされることが示されている。また、体細胞をES細胞と融合させることにより、体細胞の遺伝子発現がES細胞様に変化することも知られていた。これはつまり、卵やES細胞の中に、核内のエピジェネティックな情報をリプログラムすることが可能な因子が含まれていることを意味している。ただし、その因子が一体何であるのかは、長い間謎に包まれていた。

・・・・

日数・コストの問題​[編集]

iPS細胞の作成にはかなり長い日数がかかる。まず1ヶ月から2ヶ月かけてiPS細胞を作り、そこから目的細胞の作成にさらに数ヶ月かかる。また、目的細胞により作成効率がまちまちなのも問題である。





追記
ため息さんは、「検閲してあげましょう」の態度を装ってます。青字
本人にとっては、装っているのでなく、本気で学とみ子に教えたつもりになっているのです。
ここまで、彼は衰えたということです。
ため息さんは教官として見下すというやり方です。この方の戦略は、後にも先にもこれしかありません。

学とみ子から反撃されても仕方ないことです。

しかし、以上の記事内容をため息さんが論評するのは無理だと思います。

当時の専門家はすでに懸念していたが、一般人にはまだ、なじみのなかったことを、上記記事で取り上げただけだから。
当たり前と言えば、当たり前を書いた記事です。でも、STAP理解に参考にできる科学知識は変化しています。
科学者たちの理解は、STAP事件後、どのように進んだのか?が、上記記事がめざした点です。
6年前から進化しないため息さんには、上記に書かれた微妙な違いについては気づけないのです。

当時の門家が抱いた懸念を、ため息さんが今、持つようになったわけでもないし、ため息さんの理解はとにかく、当時と変わらない。
めずらしく応援コメントが少なかったので、ため息さんは、がんばらなくちゃ!と、ちょっと警戒モードでしょうね。
がんばっているけど、見当はずれです。知識の変化を全く、考慮できてません。
何か、変化したのかもわからないようです。

それでも、何か言わざるを得ないため息さんです。まず、つまらない誤字からからみます。
単語の繰り返しの誤記をあえて誤字と認識せず、まず、それを問題視することから始めました。
(”獲得”なる単語が2重なのでひとつ消しました)


>論文の著者も専門家も、体細胞が酸浴してできた細胞が、ES細胞になるとは思っていませんね。また「iPS細胞様」とはなんでしょね。

ES細胞様、iPS細胞様ですね。”様”は二つの細胞にかかります。
”様”とは何か?については、多能性と自己複製能を指します。
これだけ議論してきているのだから、このレベルの省略は許されます。
ため息さんは、多能性と自己複製能の相反する機能の意味すらわからないのです。

ため息さんはつっこみどころがずれていますね。
多くのエヴィデンスから推論されていることと、一部の論文で示されていることの違いがため息さんは見えませんね。
ため息さんは、この領域の論文にほとんど触れていないので、何が進んだのか?把握できません。
学者なら、知らない領域にはコメントしません。
それでも、学者が知らない領域にコメントする時は、まず、自らの理解を知らしめてからコメントします。
ため息さんはそうしたエチケットを欠き、いくらでも知らない領域に無遠慮にコメントしますね。
知らないことと、知っていること、以前には知られていないこと、以前から知られていたこと の境界線をわきまえられないみたいです。
もはや、学者として機能していないと思います。

上記の文章を、学生のレポートを読むのと、同一視しています。こんな教授がいるんですね。

ため息さんは言います。

>・・・であるという根拠は見当たりません。


>「胚にはもともと、メチル化を外す能力がある」ということの引用文献とするにはふさわしくないと思いますね。

>分化した細胞が接触で脱メチル化されるというような話はあるのでしょうか?素人なので知りませんな。



接触という言葉を、幅広い意味で学とみ子が書いていることを、ため息さんは想像できないのです。
実際に実験の現場にいない学とみ子は、このように日本語表現しているのですね。

>疑惑に会ったたからではなく、疑惑に答えることができなかった、ES細胞だったのでは?という疑惑が当ったので、実態とはフェイクであったということになったわけですね。

当時の科学知識では、酸浴が細胞に及ぼした影響を説明できなかったのです。
6年経った今でも、まだ、解明できてませんね。

知識人は、他人のやむを得ないミスに寛大です。
一方、知識人でない人は、他人のミスをとりあげて喜びますね。
研究者の誤解やミスをとりあげていたら、細胞科学は進歩しません。
生命科学は、とってもとっても、難しい話ですからね。
問題多い日本を飛び出して、日本人学者が中国へ行って研究する時代です。

ため息さんは、こうした大事な科学解明の経過というものを理解できないレベルの人ですね。
6年前と、ため息さんの理解は何もかわっていないのです。

>気晴らしに学とみ子ブログを読むと、これまた論理もなにもないので気が狂いそうになるわけです。

気が狂う原因は、ため息さんが学とみ子文章を理解できないからです。
誰かから、「以前の知見と何が違うのか?」 「論文の新知見は何か?」 と聞かれても、ため息さんはまともに答えられないと思います。
知見の違いに、ため息さんは気づません。
何度も言うようですが、ため息さんが理解できない事は、ため息さんにとって、全部、デタラメと考えるのです。
気が狂う状態から逃げ出すための、ため息流やり方なのでしょう。


こんな、ため息さんの見当はずれの批判を読んで、なるほど!と納得する人がいるんですかね?
小保方犯行説の支持者は、真実はどうでも良いのでしょうからね。
だまされやすい人を、そのままだましておけば良いのですから・・・。

ため息さんの知識をほめあう人達は、数を減らしながらも、これからも続くと思います。


ため息さんです。

>「小保方氏はES細胞を混入させてない」ということに、根拠をもって論ずることができない(当然ですけど)ので、なんともし難いのでしょうね。

ため息さんのレベルでは、桂報告書の目指した科学的推論を理解する事は出来ないようです。同じく理解できないレベルの人が、これからもため息ブログに書き込むでしょう。