ノーベル化学賞は、とる!とる!と言われていた、クリスパーキャス9だった。
2012年にサイエンスに発表された。それから、世界中で研究に使われている。
中国では、ヒトのゲノム編集も行われた。

細菌のゲノムには、繰り返し配列がある。
実は、この奇妙な繰り返しのゲノム構造を最初に発見したのは、日本人研究者であったが、当時(1987年)、その機能が解明されず注目されなかった。
その後、繰り返し構造にはさまれて、ウイルスDNAが組み込まれていることがわかった。

さらに、微生物学の女性研究者シャルパンティエ氏は、この回文状構造(上から読んでも下から読んでも同じように読める構造を回文構造と呼ぶ)の機能を解明した。

この構造体の機能は、細菌が持つウイルス感染への抵抗力を発揮するための仕組みであることが証明されたのだ。
細菌にウイルスが感染すると、ウイルスにのっとられないように細菌は自らのゲノムに組みこんだ過去のウイルスDNAからRNAを作製して、ウイルス増殖を抑える。
細菌が持つウイルス制御の仕組みである。
つまり、細菌は、ウイルスDNAを内在させて、いざという時に、その記憶を生かすのである。

女性化学者のダウドナ氏が回文構造とキャス9(制限酵素)を組み合わせた。
RNAに制限酵素をつなげることで、ゲノム編集を可能にした。

それまでも制限酵素を使ったゲノム編集は行われていたが、制限酵素の蛋白が標的DNAを認識して結合する従来の方法に対し、クリスパーキャス9の場合は、蛋白ではなく、細菌由来のRNAが、標的DNAとの結合を担う。
その結果、塩基と塩基の結合となるため、確実に塩基同士がミスをせず、目的のターゲットへ結合することが可能となる。
これが、クリスパーキャス9の画期的な部分だ。

ユーチューブを見ると、すらりとボーイッシュなダウドナ氏の講演がいくつもでてくる。
ダウドナ氏が、シャルパンティエ氏を持ち上げる紹介もでてくる。
講演中のダウドナ氏は、「どこからでも質問して!」と言う感じで、生き生きしている。

細菌のような原始的な生き物でも、ウイルス感染を防ぐためのすごい免疫機能を持っている驚きから、クリスパーキャス9研究が始まったとの研究経緯がユーチューブで見れる。
ダウドナ氏は、とっても、カッコイイ。
ユーチューブは何度でも再生できるから、この分野を勉強したい人にはおすすめだ。

しかし、新発見にはつきものの訴訟問題では、この研究も揺れている。

女性二人のいるUCバークレーに対し、MIT、ハーバード間の三つ巴で利権で争っていて、今も決着はついていないそうだ。

新発見をしたら、徹底的に戦うエネルギーが必要だ。