どういう時に、STAP細胞がES細胞から作られたと言えるかについて、桂報告書に書かれている。
特に、GLSの時に、条件が整っているので、一番、理解しやすい。
また、ES細胞へのすり替えとか、最初からES細胞が使われたとかでなく、桂報告書で、なぜ、“混入”との言葉が使われたのか?
ここに疑問を感じた人はいないのだろうか?

小保方氏が故意にESを使おうとしたなら、どこでどうやって混ぜたの?について、さまざまな推論になる。
最初から、ES細胞を使った方が確実などとの憶測も飛んだ。
風が運んだ説、めったに起きない実験上のミスがたまたま重なった説とか、いろいろに言われた。

そこで、桂報告書について、“混入”との表現された理由に注目して読んでみよう。

“混入”は、悪意のある故意以外でも、実験のたびに実験者も気づかないままで起きる可能性がある。
桂報告書のこの部分を読むと、そうしたことを念頭に文章が書かれていることがわかる。
大事なのは、桂報告書は、実験ミスの可能性を念頭に入れている点ではないだろうか?

まずは、GLSで、同一細胞性が十分に説明されている部分を確認しよう。

STAP 幹細胞 GLS の中から選んだ GLS1 と ES 細胞 GOF-ES 細胞において(桂報告書七頁 青字)
1)全ゲノム上の SNPs 分布(C57BL/6 マウス背景)が同一
2)挿入遺伝子の種類、コピー数、挿入領域の配列が同一
3)由来するマウスの性別(メス)が同一
4)X 染色体上の構造異常(大きな欠失+末端重複逆位接続)が同一


このうち特に大事なのは、SNPの一致であろう。
すなわち、遺伝子構造異常の一致と、SNPsの一致で、GLS1 と ES 細胞 GOF-ES 細胞は同じ細胞とみなされ、STAP幹細胞はGOF-ES 細胞から作られたと結論している。

小保方氏が若山氏からわたされたマウスの状態では、X染色体の異常はない。

推測だが、培養途上でSTAP凝集塊が増大していく過程で、質の違う細胞が一緒に凝集塊に加わるとは思えない。
となると、特殊な生存状況で凝集している細胞に直前に“混入” するとなる。
この場合は、Ooboe氏らが指摘するように、その形態から若山氏が気付かないわけがない。
注入する時は、凝集した細胞を個々に若山氏は見るであろうと思われるからである。

次の桂報告書8頁の中に、①②の数字を学とみ子が入れたが、ここは、報告書が、ES細胞が混じってしまう可能性のある時点を指摘している。
混入の危機は、この二時点である。
①は小保方氏の作業で、②は若山氏の作業である。

本調査委員会では、「STAP 幹細胞 GLS と ES 細胞 GOF-ES は同一由来の細胞 である」と認定した。
また「GOF マウスから ES 細胞 GOF-ES が樹立された過程で X 染色 体上の構造異常が生じ、①GOF マウスから STAP 細胞を経て② STAP 幹細胞 GLS が作製された 過程でこの ES 細胞 GOF-ES の混入が生じ、それを用いた実験結果が Article の Fig.5 お よび Extended Data Fig.8 に示された」と結論づけた。



①で混入が起きてしまう理由は、まれには器具の汚染があるだろうが、可能性が高いのは意識的な“混入”である。
(ただし、学とみ子は、誰にしろ故意のES混入には否定的)


②の場合は、意識的にES細胞を混ぜるのではなく、実験手技を通してのミスである。
故意でない混入の方が、可能性が高いと思う。
いづれにしろ、桂報告書(青字)はこの二点において、“混入”を疑った。
だからこその“混入”との言葉なのである。


毎回作られるSTAP細胞作成時、大きな遺伝子異常がおきれば、そこらからキメラはできてこない。
X 染色 体上の構造異常やトリソミーを持つマウスは生存できないが、細胞実験には用いることができる。
ネーチャー論文にその細胞の写真が載っていてるのは、細胞としては生存が可能であるからと思われる。


GLSでの評価がわかると、どういう時に、STAP幹細胞がES細胞から作られたと判断するかの基準が理解できる。
つまり、性の一致は当然のこととして、構造異常(重複、欠失、くりかえし)などの一致に加えて、一塩基変異も一致していることが大事なのである。

同じ動物から細胞がつくられた直後、あるいはその逆の時も含めて、両者の遺伝子構成は一塩基変異も含め一致する。
一塩基変化も一致するので、細胞同士の場合、一方が他方から作られたことがわかるが、同時に、一塩基変異は、細胞がとられたマウスの遺伝子状況を反映している。
そして、その後に動物継代や細胞培養をくりかえし時間が経過してくると、相互に独自の塩基変異が起きる結果、その一致率に影響がでて来るのである。

ここをふまえて、FES1の場合を考えてみよう。

GLSでの一致の状況と比較すると、GLSの場合と、FLS3、FI 幹細胞 CTS1、FES1はそうした関係ではないことがわかる。

FLS3、FI 幹細胞 CTS1、FES1、129/GFP ESは、共通の細胞に由来するとの考えは同じjだが、GLSの時のようにSNPまでぴったり一致しているわけではない。

桂報告書4頁(青)
FLS3、FI 幹細胞 CTS1、ES 細胞 FES1、および小保方 研で見つかった 129/GFP ES の、常染色体に存在する 129 ホモの SNPs が、突然変異、 あるいは遺伝的背景の不均一性によるものとしても、もしこれらの幹細胞がそれぞ れ独立に作製されたものであるなら、これらの 4 か所に共通の SNPs が観察される 可能性は低く、これら4種類の幹細胞が共通の細胞に由来することを強く示唆する。


とくに、今回、FES1とFES2のSNPの異なる部分をあえてピックアップしてしまったために、ますます、FES1とFES2がそれぞれ、どの年度に作られた細胞に近いのか?がわかるようになった。
FES1とFES2において、他の細胞のSNPの一致率を比較することにより、FES1とFES2の作製時期は違うのではないか?の疑問である。

SNP調査などしない方が、ES説にとって都合が良いはずである。
桂報告書がこれを書いたことは、STAP幹細胞がES細胞から作られたとの評価を、後進に託したということではないのだろうか?