ネット情報の進化により、専門科学の情報が容易に入手でき科学は一般化した。
つまり、求めれば、専門家以外でも科学にのめり込めるようになったのである。
STAP細胞の質については、専門家、非専門家により、議論はかなりつくされてきたはずだが、4年後の今でも、理解の難しさは続いている。
STAP細胞の説得力のある説明には、今後の胚発生学における遺伝子制御の解明やら、逆方向となる細胞初期化の多様性についての研究成果の集積が必要だ。
将来、出て来るであろう知見に基づき、STAP細胞の疑問点が説明可能となる日が来るかもしれない。
科学とは、たとえ、権威あるもの、専門とする者が出した結論であっても、その後の新たな知見によって書き変えられる。
こうした過程は、科学の醍醐味であり、誰でも、この変遷を楽しむことができる。
STAP事件は、自然科学の視点で解析したり、人文科学の視点で解析したりが可能である。
ある割合の人たちが、STAP事件について数年にわたり疑問を抱き続け、理研の出したES混入説に反論しているのか?
ここは、人文科学的には、興味深いだろう。
人文科学者たちも巻き込んで、議論を継続させていくことが大事なような気がする。
STAP細胞について、擁護も、批判も、今までさまざまにネットに書かれてきた。
それらは、これから新たにSTAP細胞を理解したいと思う人には、有用な情報であるだろう。
有用な議論の場を提供してくれた代表的サイトに、一研究者・教育者の意見 がある。
そこに、TCRの議論が載っている。
少し、それをのぞいてみよう。
まだ、かなり初期の頃の議論である。
議論を前進させるコメントを
もし丹羽先生の結果、すなわち「8系統のSTAP幹細胞にはTCRの再構成は確認できなかった」という事実が、小保方さんの最初のNature論文に記載されていたら、論文はアクセプトされていただろうか?
答えはおそらく「ノー」であろう。論文の審査委員は、「それでは、STAP細胞が、細胞の「リプログラミング」でできたという証拠に乏しい。キメラマウスのTCR再構成も調べなさい」とコメントするだろう。そしてキメラマウスでもTCR再構成が確認されなかったら、こう決断を下すだろう。「この論文は、分化した細胞が「酸処理」という簡単な操作で「リプログラミング」される可能性を示した極めて興味深い論文である。しかしながら、STAP幹細胞やキメラマウスの基となった細胞が、「リプログラミング」によって生じた細胞か、CD45+細胞(白血球細胞)内に含まれる未知の幹細胞が酸処理によって「セレクション」されたのかは不明である。「選択」ではなく、「リプログラミング」であることの「確固たる証拠」を得てから再度投稿すべきである。」
「農学系」さんは、「説明可能」という主張をされた。それは論理上は正しい話だと思うが、論文に必要なのは「ポジティブな証拠」であり、「説明可能」では不可なのである。
12日のブログで「暗黙の前提」について述べたが、小保方さんのSTAP論文の「暗黙の前提」は、「TCR再構成を確認できたSTAP細胞からキメラマウスができた」ということだと思う。ここでは、「CD45+細胞に含まれていた未知の幹細胞」という可能性を否定する実験が行われていない。そして、論文の流れ(コンテキスト)から、一番最後の結果であるSTAP幹細胞の作製の話も、「TCR再構成を確認できたSTAP細胞から幹細胞ができた」ということが「暗黙の前提」となっているだろう。繰返しになるが、ここで「STAP幹細胞にはTCRの再構成は確認できなかった」と記載すれば、その「暗黙の前提」が崩れ、「証明が必須な事項」に変換されるのだ。論文審査員は、本当は「STAP幹細胞のTCRの再構成の有無」について指摘すべきだった。なぜしなかったのかは不明であるが、「笹井先生の信用」が大きくものをいったのかもしれない。
もう一点。小保方さんの論文が投稿された時に、若山先生は「「8系統のSTAP幹細胞のうち2つはTCRの再構成が起こっていた」と聞いていたので、安心していた」ということを思い出して欲しい。そして、再構成が起こっていなかったという結果を聞いて、若山先生は愕然としたのだ。つまり、少なくとも一人の著者は、小保方さんのSTAP論文では「幹細胞」と、そしておそらく「キメラ」も、「TCR再構成を確認できたSTAP細胞由来」ということを「前提」にしていたのだ。それゆえ、その前提に疑問を投げかける結果となった丹羽先生の論文は、STAP論文のプロトコールとして発表することは不適切なのである。
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しかしながら、いくつかのYahoo意識調査を見ると、世論をかなりよく反映していると思われる。例えば、「調査委員会が再調査せず」については、14日現在142,000票で、「納得できる」51,400(36%)、「納得できない」90,600(64%)である。笹井先生の会見(60,700票)に「納得した」(19%)、納得できなかった(57%)、その他(24%)、小保方さんの会見(24,600票)に「納得した」(30%)「納得できなかった」(52%)、その他(18%)。
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このエントリー記事が書かれた当時のコメントは、まだ9名にすぎないが、その後、同ブログに多数のコメントが書き込まれるようになったことを考えると、その後はかなり読まるようになった。
一研究者氏の全文を読んで欲しい。
学とみ子がここに書き込んでいる内容とは大分異なっている。
一研究者は、自然科学の大学教官と言われているが、T細胞からキメラができるのか?については、全く考察が無い。
”当然、できるはずのものができなかった。できなきゃ、ネーチャー論文の体をなさない”と、一研究者氏は言いたいのでは?・・・と、学とみ子には読める。
農学部さんというコメンテイターは、幹細胞にTCRが無くても良いと主張していたようだ。
当時の丹羽先生は、「幹細胞にTCRが無くても良い!でピリオド」としっかり言っておきたいと思い、実際にそう行動した。
キメラにTCRができそうに無いことも、著者らは予想していたと思うし、少数の元T細胞がキメラ体細胞になったとしても、それを実験で確かめることは難しい事がわかっていたと学とみ子は思う。
しかし、そうした可能性についての説明は、多くの人には伝わらなかった・・・。
T細胞は、初期化したのだから、キメラ体細胞になるはずだ・・・と、このブログで喧々諤々の議論となり、学とみ子は、さんざんバカにされた、今でも、その状態だ。
しかし、酸浴による初期化の質は未定であるし、T細胞は増殖に不利というのは当たり前なら、元T細胞も同様に増殖は不利であろうと、ここでは想定している。
強制的にT細胞、B細胞に初期化遺伝子を導入したiPS細胞実験系で、実験者は増殖に苦労している。
もともと、専門的な思考を要する実験系だったのだと思う。
追求され疲弊していた著者らに代わって、細胞免疫学分野の専門家たちが、他の分野の科学者層や一般人に向けて、わかりやすい説明をしていたら、もう少し、反STAP論の抑制になったのでは・・・。
キメラ実験においても、少数のTCRを持つ細胞が大きく胚内で増殖できなければ、PCR増幅したゲル展開ではTCRの証明はできない!などの説明があっても良かったと思う。
こうした説明は一部の科学者層から出て来ていたと思うだが、結局、STAP擁護の議論は専門性が高すぎてかき消されてしまったのではないだろうか?