クリスパーを用いたゲノム編集は、昨今の分子生物細胞学の人気のトピックとなっている。
須田さんもこの分野の本を書いている。
STAP事件の時、須田さんの本は、STAP派の研究者たちをずいぶんと傷つけたと思うが、彼女の本は、桂報告書の出る前に出版された。
STAP事件の裁定が出た後には、須田氏は、STAPねつ造論やES説について、新たに補足したり、自らの正当性を主張するための著書を書いていない。
すでに、須田氏の興味はクリスパーにうつったようで、その分野で取材した科学記事をまとめて単行本を出した。須田氏の著書のアマゾンサイトを貼り付けようとしたが、すごく長くなるので止めた!
臨床医学の世界でも、何かひとつ業績で論文を書いて成果を示すと、もう、その分野のフォロウはしない医師たちがいる。彼らの研究は、短期間で終わってしまう。
このタイプの医師たちは、次は、研究対象を別の話題にシフトして、別の成果を追及している。
臨床論文と言えど、新規性は大事であり、一旦、論文を書いた後でも、その後に補足したいこと、修正したいことはあるはずだ。しかし、そこにはもう触れないタイプの人たちのグループがいる。
正直言って、これでは信頼性がうすいのだ。
一方で、こうした手法とは全く異なり、何十年にもわたり、同一の病気の経過を観察フォロウしている優れた研究もある。
特に、こうした仕事は、教授と医局員によって続けられる息の長い研究であることが多く、精度も高く、尊敬に値する。誰かがデータをねつ造などすると、全体の流れがおかしくなってしまうものだ。但し、臨床教授の権力が低下して今では、難しい手法の研究となっている。
いづれにしろ、論文でも、記事でも、公開後のフォロウというのは、とても大事なはずだ。
競争の厳しい科学分野の話題を記事にしようとすると、必ずライバル研究者というのがいるので、ジャーナリストは、ライバル研究者からの一方的な情報では記事にできないのだが、須田氏の場合は、この偏った情報ソースを実に素直に著書に残している。
もっとも、マスコミの記事と、医学研究論文とは異なり、社会がそれらに求める中身も違うものなので、いまさら、須田著書への恨み節を言っても仕方ない・・・。
これからも、須田氏は、時の科学トピックを追い求めてその記録を本に書くのであろうが、今も世の中に残る多くのSTAP疑問に対して、須田氏は何を思うのか?自書の問題点を思い出すことはあるのだろうか?あるいは後悔しているのであろうか?
過去を書き捨て、出し捨てにせず、ぜひ、STAP事件を独自に考察して、STAPに関する新著を再度出して欲しいと願う。
さて、今回は、須田氏に関するネガティブな話題は避けて、今の彼女が追求するクリスパーを用いたゲノム編集について触れてみた。
昨年、科学界を騒がした一論文を紹介する。この成果には、例のノフラー氏も自らのブログにいろいろ疑問を書いている。
この論文は、父方母方で受精したヒト細胞において、クリスパー用いて、遺伝子構造に欠陥のある父方の遺伝子を、母型の正常の遺伝子型にした成果を示した内容である。MYBPC3変異とは、心筋が肥大してポンプとして機能しなくなる遺伝病で、異常な遺伝子を保有している人は、結構多いそうだ。民族によっては、2-8%とのことである。遺伝子異常があっても、その代の人では病気がマスクされることがあったり、若年で突然死になったり、臨床の病気というのは個人差が大きい。いづれにしろ、この遺伝子情報は、次の代につながっていくのである。
臨床の場でも、決して少なくはない病気であるが、治療法はなく、マスコミで心臓移植で話題になる病気である。
Hong Ma, Nuria Marti-Gutierrez[…]Shoukhrat Mitalipov
Nature volume 548, pages 413–419 (24 August 2017) |
https://www.nature.com/articles/nature23305
ゲノム編集は、遺伝子変異から生じる病気の発症を防止できる可能性を秘めている。ここでは、CRISPR-Cas9を用いたDNA修復応答を使い、ヒト着床前胚におけるヘテロ接合性MYBPC3変異を高い精度で修正させた。父親由来の対立遺伝子にある変異遺伝子を二本鎖切断(DSB)して、合成DNA鋳型の代わりに相同性のある正常の母親遺伝子を用いて修復した。 DSBが誘導された細胞周期段階を調節することにより、我々は胚を切断する際のモザイクを回避し、野生型(正常型)MYBPC3遺伝子を保有するホモ接合胚を高率に得ることができた。懸念されたオフターゲット突然変異(他の遺伝子異常)を引き起こすことなく、アプローチ手技の効率、正確性、安全性は、着床前遺伝子診断を補完でき、ヒト胚における遺伝的変異の是正に使用される可能性を持つ。しかし、技術の再現性を含めて、臨床応用の前にはやるべきことはまだ多く、残っている。
https://www.nature.com/articles/nature23305
ゲノム編集は、遺伝子変異から生じる病気の発症を防止できる可能性を秘めている。ここでは、CRISPR-Cas9を用いたDNA修復応答を使い、ヒト着床前胚におけるヘテロ接合性MYBPC3変異を高い精度で修正させた。父親由来の対立遺伝子にある変異遺伝子を二本鎖切断(DSB)して、合成DNA鋳型の代わりに相同性のある正常の母親遺伝子を用いて修復した。 DSBが誘導された細胞周期段階を調節することにより、我々は胚を切断する際のモザイクを回避し、野生型(正常型)MYBPC3遺伝子を保有するホモ接合胚を高率に得ることができた。懸念されたオフターゲット突然変異(他の遺伝子異常)を引き起こすことなく、アプローチ手技の効率、正確性、安全性は、着床前遺伝子診断を補完でき、ヒト胚における遺伝的変異の是正に使用される可能性を持つ。しかし、技術の再現性を含めて、臨床応用の前にはやるべきことはまだ多く、残っている。
ゲノム編集でDNA消失、新技術の信頼ゆらぐ 英チーム:朝日新聞デジタル 2018年7月17日
https://www.asahi.com/articles/ASL7G3FGYL7GULBJ002.html
遺伝子を自在に操作できるゲノム編集技術の一つ「クリスパー・キャス9」を使うと、DNAの一部が意図せずに消えてしまう恐れがあることを英国の研究チームが発見した。医療への応用が期待される新技術の信頼性がゆらぐ結果で、チームは、編集された遺伝子を徹底して調べるべきだと警鐘を鳴らしている。
(続く)
英国の研究チームの論文は「Repair of double-strand breaks induced by CRISPR–Cas9 leads to large deletions and complex rearrangements」(nature biotechnology、https://www.nature.com/articles/Nbt.4192)。
クリスパー・キャス9の技術的問題はこれだけではなく、がん化の恐れも少し前に指摘されています。
当然、須田桃子本はこれらの問題については触れてないでしょうね。
ゲノム編集:がん化の恐れ クリスパー法に難題 スウェーデンチーム - 毎日新聞 2018年6月15日
https://mainichi.jp/articles/20180615/ddm/012/040/080000c
遺伝子を狙い通りに操作するゲノム編集技術のうちで、最も研究利用が進んでいる「クリスパー・キャス9」で遺伝子を改変した細胞はがん化する恐れが高まるとの研究成果を、スウェーデンのカロリンスカ研究所などのチームが米医学誌に発表した。
情報をありがとうございます。
新技術は、光と影があります。英語の国では、記者も多くの情報を持ち、論文評価を、光と影の視点で論じるでしょうが、例えば遺伝子異常を抱えている人たちにも寄り添い、かつリスクも論じると言うようにですが 。
毎日新聞にも、もっと経験豊かな記者がいるはずなのに、新人記者の須田さんがなぜ主要なSTAP記事をかけたんですかね?
日本は、マスコミが医療サイドを責めますよね。医療者が何を予見できて、どんな手を打てるかが、マスコミは知りません。ただ、一方的に医療側を責めるだけです。
頑張る医療者が非難される日本では、新規治療は出来ないです。第二の小保方氏を作るだけでしょう。
あと須田さんが新人、って…そら貴方よりは十分若いでしょうがねw
本当ですか?
素晴らしい情報ですね。どの筋からの情報でしょうか?
須田氏が、ご自身がかつてES説を信じて書いた内容をどのように評価するのか、期待が高まります。前著作と変わりないスタンスだったら、学とみ子はこのブログで追及します。
須田氏はライバル研究者を鵜呑みにして、須田氏を大事にしてくれた笹井氏を信じませんでした。その辺りを語ってくれたら、ホントに興味深いですね。
もっとも、私なんかより、小保方氏が黙っていないでしょう。当時の小保方氏は、周りの人たちが信じてくれないとの絶望感で一杯だったでしょうが、今の彼女は一般社会のサポートを信じるでしょう。
小保方氏は、若山研究室とは争わないと思いますが、須田氏とは対峙するかも。
新たな転換に期待します。
須田さんは今回追加される新章でオボやボンクラ擁護(貴方も含む)を粉砕してくれると期待。
週刊文春にオボが出たことで文春が方針転換しただの須田さんのこと揶揄するボンクラ擁護が居たけど、文春は学術的なことは須田さんに、イロモノ路線はオボに(結局期待外れ)ということだったんだろう。
ね、gen**ronこと渋谷さんw
情報ありがとう。
新版で追加になるんですね。こうした動きは大歓迎です。世の中でSTAPを論じる人が少なくなるのが一番残念ですので……。
関係者からの新たな証言が期待できます。人間的な側面と科学的真実を皆さん知りたいですから、これから出る新証言はスクープです。
私には、あなたの文章、ひとつひとつ興味深いです。須田氏は実験の場にいた人ではありません。わからない事だらけの中で、偏向した情報の質を見極められなかったと思います。あなたはどういう立場の方なのでしょうね?
もちろん、真実はまだ闇の中ですよ。須田氏の今後には注目します。
誰が、何を、いつ、なぜ、どのように捏造したのか? 歴史に残る不正事件をスクープ記者が追う。事件のその後も加筆した「完全版」。」
なるほど、著者、版元自ら、前著が「不完全版」だったということを認めたわけですね(笑)。
大宅賞を取るために、2014年12月に発表された「STAP現象の検証結果」と桂調査委員会による「報告書」を確認/検証することなく脱稿してしまった「不完全版」を、文庫化でどのように取り繕うのか見ものではあります。
しかし、STAP細胞事件は現在も進行中の事案です。
須田氏は、現時点で「完全版」を出すことのリスクをどこまで認識しているのでしょうね。
STOP氏の情報、本当なら
大歓迎です!
なんと言っても、「捏造の科学者」は
一級の資料でした。
笹井先生や丹羽先生の貴重な
生メールが記録されてますし、
パートナや私にとっても、画策側の
現場からのリークでしたから
「あの日」(仕組まれたES混入ストーリ)の画策真相究明の資料収集の
沢山のヒントを頂きました。
私達の資料の3割は須田氏のお陰です。
「捏造の科学者」の帯タイトルに
このまま、曖昧に終わらせたら
(科学ジャーナルの敗北)とまで
腕捲りしてましたから、
更なる「stapのES混入論の新情報」を
追加してくれるものでしょう。
>須田氏は、現時点で「完全版」を出すことのリスクをどこまで認識しているのでしょうね。
ここまで言ってしまった須田氏ですから、新たに記事を増やすと言っても、ESねつ造で突っ走る選択肢しかありません。あくまで、ES説は正しいと言い続けるのが、須田氏の立場でしょう。彼女の本音は違っても(ESでは説明がつかない)、須田氏はそうは言えません。同じように、ES論で論文を書いた理研の著者たちも、その後に新証言が出たり、ES説が否定されても、著者たちは、「あの時は、ES説が正しいと信じた」で通用します。科学論文とはそうしたものですね。後で責任を問われる政治的判断とは違います。
論文を書いたES論の著者らも、実験中はそう思ったと言って、論文を撤回すればすみます。
結局、頭の良い研究者たちが仕掛けたねつ造偽装や研究妨害を見破る力は、マスコミには無いということになりますね。
>このまま、曖昧に終わらせたら(科学ジャーナルの敗北)
今後、マスコミが社会一般の信頼性を維持するためには、マスコミは敷居の高い科学的真実を暴くのではなく、名誉とお金が集まる組織における不平等性、理不尽性など、そこに生きる人たちの光と影に徹底して取材して欲しいです。
ミーハー的な政治判断で、科学支援が決められている側面が、STAP事件で垣間見えましたね。お金と権力が集中する組織には、フェアなしくみは必須です。
STAP事件の場合は、マスコミは反STAPの専門家の言い分だけを正しいとし、反ESの専門家からの生の声を取り上げませんでした。
今の時代、科学的真実については、その筋の専門者たちが自由に実情について情報発信しますので、そちらの方がバイアスも無く正確でしょう。
須田さんの年齢や経験からしても、エリート知識人たちが抱える光と影の葛藤を論じるのは無理と思います。新版には、マスコミが方向を決めたと露骨に書かれていないことを期待したいです。
マスコミの無知で事件を複雑化させては、マスコミ離れにつながります。
唯一、小保方さんの告発に反論すると言う事だと思うので大歓迎です。
本来なら、若山氏や理研の当事者に望みたいことでしたが、まあ良いです。
真相が、明らかに成る事を期待しています。