小保方氏が、日記にデル先生との治療経過を書いている。
小保方氏も科学者として治療薬に興味があるだろうが、実際の薬剤名は日記には書いていない。
克明に日記に記載された彼女の異常症状を読むと、一時的にしろ抗うつ剤、抗不安薬は必要であったであろうとの印象である。
小保方氏の普通でない心の様子が克明につづられているものの、精神科の代表的な疾患である統合失調症や双極性障害とは違う。
統合失調症や双極性障害は内因性疾患と言われ、脳内伝達機能の異常とみなされている。
日常の出来事が悪化原因になることはあっても、原因ではない。
内因性の精神疾患は、患者自体の脳内がまとまらず、困惑の境地に落ちている状況となり、自らを見つめることはできない。
統合失調症や双極性障害でも、回復してくれば自己評価が可能になるが、極期にいる時の患者は、自身では考えることができず外的な力に支配されている感や幻聴などに悩まされ、憔悴した状態となる。
小保方氏の心の困惑の質は、こうしたものではない。
小保方氏の場合は、異常精神状態を克明に文字化しようとする彼女自身がいる。
そして、作業をしながら、絶望からの脱出を試みているのである。
しかし、いづれにしろ、混迷している脳の状態があるわけで、一時的にしろ、救うには薬剤は必須である。
精神科医の書いているネット記事を参考に考えると、うつの重症度や性格、原因の有無などによるが、絶対に薬剤が継続的に必要な状態というのはある。
特に、重症な場合や、内因性の要素がある場合は、治療に注意が必要であろう。
しかし、小保方氏のように明らかな原因のあるうつの場合は、治療選択をどうするかは、患者側の主体性が大きい。
つまり、当初、薬を医師の主導で始めたとしても、薬が必要なくなった状態に達しているかは、悩める本人自身で感じ取ることが多く、自己判断がうまくいってしまう人も多いということだ。
こうして薬が脱却できた人は、めでたし、めでたしということだ。
患者が薬を忘れるように、精神科医もこうした患者の事をわすれてしまうだろう。
小保方氏のように、原因がはっきりある場合も、原因不定の内因的なうつ状態であっても、脳内をアップさせる薬は使われる。
今、精神科領域で一番使われているのが、サインバルタと呼ばれる薬で、日本で発売されているなかでも良く効く抗うつ剤とされている。
日記のどこの時期かは不明であるが、小保方氏もこの薬剤が使われたであろうと想像する。
このサインバルタは、現在、抗うつ剤の売上高として世界最高とされているそうである。
作用機序としての薬理作用は、脳内セロトニン、ノルアドレナリンの作用を高める薬ということになっている。こうした生体機能の根幹に作用する薬は、脳内だけでなく、他にも作用は出てしまう。
できるだけ、胃腸症状などを起こさず、抗うつ作用が発揮できるよう、新たに、新薬が開発されて行くのである。
このサインバルタは、抗うつ作用はしっかりあっても、胃腸症状の副作用と眠気はかなり高く、約3割ということである。その他にも、倦怠感、傾眠、頭痛、めまい、不眠、悪心、口渇、便秘、下痢、腹部痛、食欲減退GOT、GPTの上昇、トリグリセリド上昇がある。
うつ病には、SSRI(パキシル、ジェイゾロフトなどセロトニンの作用を増強させる抗うつ剤)やリフレックスが以前は主流であったが、サインバルタが出てからは、こちらにシフトしている。
従来薬でうまくいかない場合にも、それと併用しサインバルタが使われるようである。
そして、ジェイゾロフトなどセロトニンの作用を増強させる抗うつ剤や、リフレックスを使用している人でも、サインバルタ効果があればSSRIやリフレックスを中止できたりする。
リフレックスも抗うつ剤として期待されかなり使われるが、以前の4環系抗うつ剤の構造式が持つため、かなり眠気が強いということだ。
かつて、SSRIは、セロトニンの作用を増強させ、安全性の高い抗うつ剤として華々しく登場した。
当時、SSRIは、評価が高く副作用が少ないと抗うつ剤とされたが、その代表がパキシルであり、内科医でも処方される時代があった。
つまり、発売された2000年以後、パキシルは盛んに使われた抗うつ剤だったのである。
脳内セロトニン神経系でセロトニンの再取り込みを阻害することで、脳内セロトニン濃度が高まり、神経伝達能力が上がる。その結果、抗うつ作用及び抗不安作用を示すと考えられる。
その後に出たジェイゾロフトの方が離脱症状が少なく、今はこちらが使われている。
こうしたSSRI薬関連薬のどれが良いかについては、結局は個人差が大きい。
そして、あるタイプの抗うつ剤が良く効くと患者が実感している間は、精神科は薬を止めない。
こうしたこと言うと、医者は金儲けのために薬を出すと言う人がいるが、抗うつ薬の継続は、本人の意思が大事なのであり、患者自身の判断があるからこそ、薬に必要性があるということだ。
やめたくなったらやめれる薬なのである。
パキシルは、体重が増える副作用もある。
”パキシルを止めた時は、注意しろ!”はマスコミでも騒いだが、医者の間に警告がある。
パキシル断薬時は、自殺のリスクが高まることで有名だからである。
その理由もいろいろ機序は検討されているが、やっぱり、パキシルは特別なSSRIという事になっている。
一般的にも、SSRIは情緒不安定になり衝動が増す人がいることと、離脱症状などがみられることが欠点である。もちろん、それ以前の薬はもっと問題が大きい。
抗うつ剤には、こうした脳内セロトニン賦活剤に加えて、抗不安薬が屯用的に併用される。
半減期の短いタイプのベンゾジアゼピン、デパス、ソラナックスなどや、半減期の長いメイラックスなどである。
結局、抗うつ薬のどれを使うかは、服用者の薬への印象が決めてである。
通常、診療室では医師と患者でそうした情報交換がされるが、両者はダイレクトに薬を話すだけでなく、他の話題について語り合いながら、お互いを知ろうとする。
デル先生は、文学、演劇にくわしいと日記にあったが、そうした話題についての会話から、医師は患者の状態を把握し、患者も医師の方針をさぐろうとするだろう。
願わくは、STAP細胞についても、どのような会話があったのかを、もう少し日記に書いて欲しかったと思うけど・・・。
STAP細胞に関する話題を日記に書いてほしいのは、医者のどの言葉で患者が救われるのかを知りたいからである。
逆に、医師の言葉の何で、患者がどこで落ち込むことかを知りたい。
デル先生が、「私は病院を守る義務がある」と言った時に、小保方氏はとてもつらかったらしい・・。そりゃ、そうだろうと思ったが、これは、デル先生の失言であった。
実は、デル先生もこう言ってしまった事をとても後悔したと思う。
一回の失言で、次に患者が姿を見せなくなったら、ドクターはとてもつらいでしょう。
まあ、結局、小保方氏をいろいろ内服したようだが、結局、断薬を断行している。
結果論だが、これは良いことだったと思う。
結果論だが、これは良いことだったと思う。