小保方氏も攻撃追及から逃げられると、若山氏は予想していたのではないか?と、前回記事に書きました。その理由ですが、著者は万能の立場であり、真実だと決める権限があるからです。
実験者の手が変わったり、使用細胞が変わっただけで、細胞を用いた実験はその結果が大きく影響をうけます。その細胞しか持たない機能であったり、変化が起きたりするので、その場限りの細胞の条件があるので、そこを再現することは不可能になります。
病気を例に考えれば、同じ病名を持つ人でも、同じ病気では無く、その人だけの病態や経過を呈します。
著者であれば実験の経緯を知っているので、反撃できる武器を多く持っています。
競争の激しい世界で、ライバルたちが攻撃してくるのですから、論文を書いた後もフォロウを怠らないということなのでしょうね。
特に今回は、ひとつ一つの細胞がどんどん変化していくような状態の幼弱化細胞で実験しています。
著者は実験ノートも含めて攻撃をかわす準備が必要でしょうが、今回は共著者間で追及があったので特殊なケースでした。
しかし、分野の広い学術界ではそうした生物学の現象を認めず、再現性や安定性が無いとの理由だけでねつ造扱いをする人たちがいます。
SNSの進化で、ライバル研究者たちは、意識的に世論をあおる手段ができました。
ねつ造疑惑の広報活動にマスコミを利用したのが、今回のSTAP事件の特徴でしたね。
実験者の手が変わったり、使用細胞が変わったりすると、その結果も変化してしまう実例を、紹介してみたいと思います。
比較の対象として、今回とりあげたのは、共同研究者の丹羽氏の論文です。
共同研究者の丹羽氏は、STAP現象の検証実験を論文に書いています。
これを読むと、生物実験の微妙な難しさが良くわかる内容になっています。
丹羽氏は、2016年の6月の以下の論文を出しています。
Sci Rep. 2016 Jun 13;6:28003. doi: 10.1038/srep28003.
Investigation of the cellular reprogramming phenomenon referred to as stimulus-triggered acquisition of pluripotency (STAP).
この論文は、STAP論文撤回後に、オリジナル実験と同じ条件で再現を試みた丹羽氏の実験です。小保方氏からのアドバイスを参考にして、オリジナル実験の条件を若干変えて、STAP細胞再現を検証したと書かれています。
丹羽氏が若干、方法を改変させた理由は、オリジナル実験で小保方氏が論文に記載した酸浴条件では実験がうまくいかなかったからです。
どんな研究でも、予想された結果が出ない場合は、実験者は次なるチャレンジに向けて、結果を再考して、ポジティブ思考に転換させると思うので、そうした視点から論文をのぞくのも興味深いと思います。
オリジナル実験で小保方氏が論文に記載した酸性条件で、丹羽氏が実験を行ったところ、脾臓、肝臓、心臓由来のどの種の細胞も死滅してしまうとか書かれていて、初っ端から、波乱含みの論文構成となっています。
そして、オリジナル実験で得られたSTAP現象は再現不可能とサマリーされています。
小保方氏をサポートしてくれた丹羽氏の論文にしては、やや冷たいと感じるのですが、小保方氏のパートはフォロウしていますのでご安心ください。
小保方氏をサポートしてくれた丹羽氏の論文にしては、やや冷たいと感じるのですが、小保方氏のパートはフォロウしていますのでご安心ください。
実際の結果を客観的に見て論文を仕上げたということなのでしょう。
笹井氏も丹羽氏も、小保方氏を信じていました。
公の場で彼らがどのような発言をしたとしてもです。若山氏も真実を知っているはずですしね。
丹羽氏はSTAP現象を否定したわけでなく、酸浴後の細胞の変化が実際に起きる現象を証明しています。
オリジナル実験の条件では幼弱化現象がうまく再現できず、丹羽氏による試行錯誤の結果、肝臓細胞をATP溶液に漬けた条件で幼弱化実験を行い、酸浴後の幼弱化現象の検証に成功しています。
肝臓細胞をATP溶液の組み合わせが一番、凝集効率が良い(69実験中52の凝集塊出現率)といっています。小保方氏の用いた塩酸と碑細胞の組み合わせでは13%(4/32)でした。
凝集塊の出現率は、塩酸浴では、脾臓細胞13%、肝臓細胞8%、心臓細胞7%の割で、ATP浴では、脾臓30%、肝臓70%、心臓27%の出現率とのことでした。
以上のように、ATP浴後の肝臓細胞で凝集塊の出現が一番良かったことを受けて、丹羽氏は実験を進めています。
動物細胞が持っている本来のOct3/4の検出ができるかを見たようですが、ATP浴後の凝集塊細胞では検出できませんでした。
人工的に組み込んだOct3/4トランスジーンのGOFマウスを使った場合にも実験はうまくいきませんでした。GOFマウス由来のATP溶液に漬けた後、赤と緑の自己融解の蛍光を発してしまい、特異的トランスジーンの発現を観察できませんでした。
最初に観察されていたCD45+でEカドヘリン陰性の細胞は、ATP浴後、CD45+が若干減少し蛍光(緑と赤)を共に発しましたが、Oct3/4の発現やEカドヘリン陽性化は確認できなかったとしています。
つまり、丹羽氏にとって小保方バージョンはうまくいきませんでした。
つまり、丹羽氏にとって小保方バージョンはうまくいきませんでした。
ATP浴後の肝細胞は、2日目に大量に死滅し、以後7日目までに凝集塊が生じ、5x10の5乗個の細胞で、20-30個の凝集塊が出てくる経過が観察されています。
Oct3/4トランスジーンを入れた細胞の凝集塊では、7日目からトランスジーン発現の観察が可能となると言っています。つまり、ATP浴後凝集塊細胞に初期化変化を見出しました。
次に、蛍光が確認できた凝集塊の細胞からRNAを抽出してqPCRでOct3/4を含む数種の初期化遺伝子を測定しました。すると、ES細胞並みにOct3/4を検出できる細胞が2割で出現し、ES細胞の10%以上の量の蛋白量合成は2割の細胞で起きました。
特異抗体を用いた免疫染色でも、陽性コントロールの胚盤胞細胞と比較しうる量の蛋白合成がありました。
そして、凝集塊の細胞を観察してみると、オリジナル論文で示された大きな核を有する細胞において、Oct3/4を発現する様相が確認でき、その周りにOct3/4が陰性の核の小さな細胞が取り囲む細胞塊構造を形成していました。
オリジナル実験では、若山氏がSTAP細胞を胚盤胞に注入して64/264(24%)にキメラ形成能を報告していますがが、丹羽氏の実験ではいつれもキメラ形成はせず、培地条件による幹細胞ラインへの変化も起きなかったと書かれています。
ACTH+LIF入り培地では細胞は死滅してしまったとのことです。この後半部分から、丹羽氏は再現不能としてるのです。キメラや幹細胞ができないと、STAPあると言ってはいけないからでしょう。